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社長車の経費はどこまで認められる?正しい計上方法伝授

社長車の経費はどこまで認められる?正しい計上方法伝授

企業で社長車を購入する場合、減価償却の方法やどこまで経費として認められるのかが、しばしば問題となります。

 

とくに中小企業にて社長車を私用で使う方がいらっしゃる場合、経費計上の方法が悩ましいところです。

 

そこでこの記事では、社長車の購入や維持費に関する経費処理の方法や、どこまで経費にできるのかといったことについて解説します。

 

経費を抑える方法も合わせてご紹介しますので、社長車の購入をご検討されている担当の方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

 

1. 社長車は購入方法で経費処理が異なる

 

社長車に限らず、社用車を購入する際の購入方法は「リース」「一括払い」「ローン払い」の3種類があります。

リースの場合と一括・ローンの場合では、経費処理が異なるため、注意が必要です。

 

また、最終的に支払う金額にも違いがあります。

それぞれの処理方法や価格の違いを確認しておきましょう。

 

ただし、今回ご紹介するのは、あくまでも一例にすぎません。

会社ごとに仕分けが異なる場合もあるため、不明点は企業の担当会計士に相談しましょう。

 

1-1. リース契約の場合

 

近年は社長車を購入せず、リース契約する企業も増えています。

費用面だけでなく管理の点でもメリットが大きいためです。

 

リース契約には大きく分けて2種類あり、ひとつは「ファイナンスリース」、もうひとつは「メンテナンスリース」です。

維持管理費が含まれるかどうかで、リース方法が異なります。

 

1-1-1. リース契約の種類

 

まずは「ファイナンスリース」と「メンテナンスリース」の特徴を確認しておきましょう。

 

【各リース契約の特徴】

ファイナンスリース メンテナンスリース
・車両の取得に必要な「税金(自動車税・重量税など)」や「保険」「登録費用」「手数料」などが含まれる。

・維持管理費の負担が必要

・車両の取得に必要な一切の費用と維持管理費もすべて含まれる

 

 

どちらのリースでも、月々の経費は「リース料」で仕訳するだけのため、会計処理が非常に楽です。

 

さらにメンテナンスリースを選択した場合、車検や点検の費用も含まれており、車両担当者としても車両管理がしやすく車検に出すのをうっかり忘れてしまったといったことがありません。

 

1-1-2. リース契約の注意点

 

とても便利なリース契約ですが、注意点もあります。

 

【リース契約の注意点】

・リース契約の際に審査がある

・中途解約は違約金が必要になる

・購入するよりも割高になる

 

まず、リース申請時には企業の資本金や売上高・負債残高といったことが審査されます。

そのため、企業の経営状態によっては、リース契約ができない可能性があります。

 

また、基本的にリース期間中の解約はできません。

何らかの理由で解約する場合は、違約金が請求されるため、何年間のリース契約にするか決める際には注意が必要です。

 

そしてリースの場合、会社の税金や保険・残存価格にも金利がかかります。

そのため、基本的には購入するよりも総額が高くなることを忘れてはいけません。

 

1-2. 一括で購入の場合

 

社長車を現金一括で購入した場合の最大のメリットは、金利の負担がないことです。

ただし、大きな金額が一気に出ていってしまうため、十分な貯蓄がなければ一括購入は難しいでしょう。

 

一括で購入した場合でも、全額を一度で経費計上することはできません。

減価償却で一定年数計上していくことになります。

 

減価償却は「法定耐用年数」という、あらかじめ決められた年数で分割して計上します。

 

ただし、減価償却するのは車両の本体価格や諸費用のみ。

自動車税や保険料などは減価償却せず通常の処理となります。

 

法定耐用年数については、次の章で詳しくご紹介します。

 

1-3. ローンで購入の場合

 

手元の現金を一気に使うことなく、社長車を購入できるのがローン支払いです。

ただし一定額の頭金は必要になります。

 

ローンの場合も、法定耐用年数で計算した額を減価償却するのは一括払いと変わりません。

 

最初に行う経費処理としては、頭金として支払った分を「前払金(仮払金)」、ローンを「未払金」として貸方勘定科目に計上します。

借方勘定科目になるのは「車両運搬具」「租税公課」「保険料」「支払手数料」などです。

 

返済開始後は、毎月「未払金」「利子割引料(支払利息)」に分けて計上していきます。

 

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2. 社長車の法定耐用年数

 

法定耐用年数は、大きく分けて一般用と運送・教習所用の2つに分けられています。

ここでは、もっとも扱いの多い一般用の法定耐用年数を確認しましょう。

 

一般用の車両でも、軽自動車と普通車では耐用年数が異なります。

新車で購入した場合の耐用年数は、以下のようになります。

 

軽自動車:4年

普通車:6年

 

多くの場合社長車として購入するのは普通車だと思われますので、法定耐用年数は「6年」となり、この期間は減価償却が必要となります。

 

減価償却の方法は2種類あります。

次の章ではその違いを確認しましょう。

 

3. 社長車を固定資産として経費処理する方法

 

社長車を購入し、固定資産で経費処理する方法を見ていきましょう。

 

固定資産として処理する場合、減価償却の方法は「定額法」「定率法」の2種類があります。

 

また、車両が新車か中古車かでも、処理方法が異なります。

細かい点になりますが、確認していきましょう。

 

3-1. 定率法

 

通常、法人で車両を購入した場合の減価償却法は「定率法」を用います。

 

定率法とは、毎年一定の割合(償却率)で減価償却していく方法です。

最初の年にもっとも支払額が多く、年々減少していきます。

 

計算式は次のようになります。

 

減価償却費=未償却残高 × 定率法の償却率

 

なお、計算して出た減価償却費が、「償却保証額」を下回った場合、そこからは「償却率」ではなく「改定償却率」を使って同じように計算します。

 

償却保証額の計算方法は、

 

償却保証額=資産の取得価額 × 耐用年数に応じた保証率

 

法定耐用年数6年の普通車の場合、計算に必要な数値は次の3つです。

 

償却率:0.333

改定償却率:0.334

保障率:0.09911

 

これらの数字は、国税庁の減価償却資産の償却率等表で調べられます。

では、これらを使って実際に計算してみましょう。

 

たとえば100万円の車両を購入した場合、償却保証額は100万円×0.09911=9万9,110円となります。

 

1年目:100万円×0.333=33万3,000円

2年目:(100万円-33万3,000円)×0.333=22万2,111円

3年目:(66万7,000円-22万2,111円)×0.333=14万8,148円

4年目:(44万4,889円-14万8,148円)×0.333=9万8,814円

 

ここで、償却保証額9万9,110円を下回ってしまいます。

そのため4年目からは、改定償却率を使って計算し直します。

 

4年目:(44万4,889円-14万8,148円)×0.334=9万9,111円

5年目:(29万6,741円-9万9,111円)×0.334=6万6,008円

6年目:(19万7,630円-6万6,008円)-1円=13万1,622円

 

6年目は備忘価格として1円残るようにし、残りの額を減価償却します。

 

3-2. 定額法

 

定額法とは毎年同じ額を減価償却していく方法で、計算も非常にシンプルです。

 

計算式と償却率は以下のようになります。

 

減価償却費=取得額×償却率

 

法定耐用年数6年の普通車の場合、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」によると償却率は0.167です。

 

つまり、100万円の車両で計算すると

 

100万円×0.167=16万7,000円

 

となり、1年目から5年目までは、この金額を計上します。

 

6年目は、(100万円 – 16万7,000円×5)-1円=16万4,999円となります。

 

もしも定率法ではなく、定額法を希望する場合は届け出が必要となりますので、お近くの税務署へ問い合わせてみましょう。

 

3-3. 新車・中古車の違い

 

社長車を購入する場合、新車で購入せず中古車を購入する企業もあります。

中古車でも減価償却を行うことに変わりはありませんが、法定耐用年数が異なるため、注意が必要です。

 

中古車の耐用年数の計算式は次のようになります。

 

中古車の耐用年数=(新車の法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)

 

1年未満の数字は切り捨てとなります。

 

たとえば法定耐用年数が6年の普通車を4年落ちで購入した場合

 

(6-4)+(4×0.2)=2.8年

 

となり小数点以下は切り捨てるため、4年落ちの中古車の耐用年数は2年です。

 

国税庁の「減価償却資産の償却率等表」によると、耐用年数2年の定率法の償却率は1となります。

つまり、減価償却するのは1年のみということです。

(計算結果が2年以下の場合でも、耐用年数は2年で計算します。)

 

社用車に中古車を購入するなら4年落ち以降の車両がよいといわれます。

その理由は、100万円の車両を購入した場合、新車なら6年減価償却するものを中古車なら1年で済ませられ、節税対策になるためです。

 

4. 社長車の維持に必要な経費

 

ここまでは、社長車の購入に関する経費処理についてご紹介しました。

ここからは、維持費について解説します。

 

車両を保有する場合、さまざまな維持費がかかってきます。

これらも基本的には、すべて経費として扱うことが可能です。

 

4-1. ガソリン代・備品代

 

社長車を維持するうえで頻繁に支払うのが、ガソリン代や、ワイパー・タイヤ・オイル・ウォッシャー液など消耗品・備品の購入にかかる費用です。

これらは、ものによって科目が異なります。

 

タイヤ・オイル交換:修繕費・車両費

ワイパーやウォッシャー液など:雑費・消耗品費

ガソリン:燃料費・車両費・旅費交通費・消耗品費

 

いくつかの選択肢がありますが、必ずひとつの品目では統一した科目を使用しましょう。

 

4-2. 税金

 

社長車を維持していくうえで必要な、自動車税や自動車重量税といった税金は「租税公課」として処理します。

 

もしもこれらの支払いを忘れてしまった場合、延滞金の支払いを要求されることがあるため注意が必要です。

リース契約をしている場合は、含まれていることもあるため、確認してみましょう。

 

4-3. 保険料

 

自動車保険は、自賠責保険(強制保険)と、任意保険に分けられます。

 

自賠責保険の場合は、「損害保険料」もしくは「車両費」で計上します。

 

任意保険は自賠責保険に比べ、処理方法がやや複雑です。

 

まず1年以内の保険の場合、これは自賠責保険同様に「損害保険料」か「車両費」で計上が可能です。

 

複数年にまたがる保険の場合、ひと月ごとの保険料を割り出し、今期分は「損害保険料」「車両費」のどちらかで計上します。

さらに残りの保険料は「長期前払費用」として資産計上しなければなりません。

 

長期前払費用は次年度以降、1年分ずつ取り崩し「損害保険料」「車両費」のどちらかに計上し、忘れないようにしましょう。

 

4-4. 役員運転手にかかる人件費

 

もしも役員運転手を雇っている場合は、その人件費がかかります。

 

ただし、社長やほかの社員が運転することを考えると、結局その人件費もかかります。

 

通常仕事をしているはずの時間を運転に費やすのは、時間の無駄遣いです。

さまざまなメリットを考えると、役員運転手を雇用した方がよいと判断している企業も多いでしょう。

 

役員運転手を自社雇用している場合は、一般社員同様に給与計算をし、経費として計上します。

 

5. 社長車の購入はどこまで経費処理できるのか

 

社長車だからといって、何でも経費で落とせるかというと、そういうわけではありません。

車両の購入と使用方法に関して、どこまで経費として許されるのでしょうか?

 

5-1. どのような車も経費で落とせるのか?

 

法的には、社長車の定義があるわけではないため、どのような車でも経費にすることは可能です。

 

しかし場合によっては、税務調査において、社長車と認められない可能性があります。

たとえば、以下のようなケースです。

 

・車庫証明が社長の自宅になっている

・名義が社長名義になっている

・不必要な装飾が多い  など

 

このような場合は、法人資産ではなく社長資産であると判断される可能性があります。

 

5-2. 私用と区別するべきか?

 

では、私的利用する車両とは区別するべきなのでしょうか?

 

万が一税務署に私的利用と判断された場合、追徴課税の対象となる可能性があります。

社長車として購入したものを、ほかの家族がプライベートで使っていた場合も同様です。

 

会社資産なのか、個人資産なのかの判断は非常にあいまいなものです。

そのため、基本的にはそれぞれ分けた方が無難といえるでしょう。

 

どうしても私的利用をする場合は、それにかかった金額は会社に対して支払うといった対策が必要です。

 

6.社長車の経費を抑える方法

 

社長車は営業車と比べ、非常に高額になりがちです。

もちろん、税金対策としてよい車を購入する企業もありますが、できれば経費を抑えたいとお考えのご担当者もいらっしゃるでしょう。

 

ここでは、社長車にかかる経費を抑える方法を、4つご紹介します。

 

6-1. 購入時期を見極める

 

購入の際、値引きをしてもらいやすい時期があります。

それは、自動車メーカーやディーラーの決算(3月)や半期決算(9月)の時期です。

 

ただし、その月内に新車登録を済ませる必要があるため、納車の時間がかかる場合は、ややハードルが高いかもしれません。

 

6-2. 燃費のよい車を購入する

 

まず考えられるのは、ガソリン代を少しでも安くする方法です。

 

そのためには、購入時、燃費に注目してみましょう。

また、電気自動車やハイブリッドカーの検討もおすすめです。

 

6-3. 保険会社や車検の場所を変える

 

これまでの付き合いもあり難しい場合もありますが、保険会社や車検を頼む会社を変えるのもひとつの方法です。

 

ネット型の保険に切り替えることや、車検をディーラー以外の場所に依頼するなど工夫することで、費用を抑えられる可能性があります。

 

切り替えることで、これまでのような細やかなサービスが受けられなくなる可能性もあるため、下調べを入念に行ってから切り替えましょう。

 

6-4. 役員運転手の人件費を抑える

 

役員運転手の人件費を抑える方法もあります。

 

社長が毎日外出することがなければ、役員運転手はフルタイムの正社員として雇用する必要はないかもしれません。

 

朝・晩の通勤時だけドライバーを雇う方法や、取引先やお客様のところへ行く日だけ派遣会社にドライバーを依頼するといった方法が考えられます。

 

7.まとめ

 

社長車は、購入と維持費それぞれ経費として落とすことが可能です。

しかし購入の場合、新車か中古車かリースか一括払いかといったことで、経費計上の方法が大きく異なります。

 

社長車を購入する際は、会社の会計士と相談しながら適切に処理しましょう。

 

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