タクシー運転手の平均年齢は高い?現状と今後の見通し
2025年05月22日
タクシー運転手という職業に対して、「年配の方が多い」「定年後の仕事」といった印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際、全国のタクシードライバーの平均年齢は57歳を超えており、高齢化が進んでいる業界のひとつです。
しかし、裏を返せば年齢を重ねても活躍できる仕事だという証拠でもあります。
本記事では、タクシー運転手の平均年齢や就労年齢の上限、必要な免許・スキル、未経験から始めるためのポイントまで、これからタクシー業界を目指す方に役立つ情報を分かりやすく解説します。
目次
1. タクシー運転手の平均年齢は?
全国のタクシー運転手の平均年齢は57.6歳で、ほかの職業と比べて高めです。
実際に、男性は平均59歳、女性は平均45歳とされており、業界全体では40代〜60代が中心となっています。
40代〜60代が中心となっている背景には、他業種からの転職者が多いことが挙げられるでしょう。
中高年になりライフスタイルが変化すると、安定した収入や柔軟な働き方を求める人が多いようです。
特にタクシー業界がそうした人を受け入れやすい環境であることも、平均年齢が高くなる一因といえます。
タクシー運転手は、特別な資格や高度なスキルを持っていなくても、普通二種免許と一定の運転技術があれば比較的スムーズに就ける職業です。
また、働き方の自由度も高く、自分のペースで働ける点も魅力となります。
長年勤めた職場を離れた人がストレスの少ない環境で働けるのも、年齢層が高くなりやすい要因かもしれません。
2. タクシー運転手として働ける平均年齢はどのくらい?
タクシー運転手の平均年齢は、ほかの業種と比べても高いことが分かりました。
このとき、実際に働ける平均年齢が気になる人もいるでしょう。
ここでは企業に所属する場合と個人タクシーの場合で、それぞれの平均年齢をご紹介します。
2-1. 企業に所属する場合
タクシー運転手として働ける年齢について、法律上の制限はありません。
そのため、健康状態や身体的に問題がなければ、年齢に関わらず運転手として働けます。
ただし、企業には就業規則があり、正社員での雇用は65歳までとしているところが一般的です。
しかし、65歳になったからといって、すぐに仕事ができなくなるわけではありません。
非正規社員・嘱託社員として雇用を継続する企業もあります。
そのため、70歳を越えても現役で活躍するベテランドライバーも多いです。
2-2. 個人タクシーの場合
個人タクシーは、企業に雇用されているわけではないため、定年が存在しません。
ただし、国土交通省の定める「個人タクシー事業の申請に対する審査基準」によって、いくつかの年齢制限があります。
具体的には、新たに個人タクシーを開業できるのは65歳までとしています。
更新の期間は健康状態や違反経歴に応じて1年・2年・3年・5年ごととなっており、更新可能な最終年齢は75歳です。
3.タクシー運転手の法律上の年齢制限
タクシー業界では、法律による定年の決まりがありません。
しかし、年齢の下限については、制限があります。
まず、2種免許が取得できるのは最短で21歳からとなっています。
ただし、2022年5月13日より施行された改正道路交通法により、特例教習の制度がスタートしました。
特例教習を受けることで、最短19歳から2種免許を取得可能です。
改正道路交通法の施行には、タクシー運転手などの人手不足を解消する目的が背景としてあります。
このように、タクシー運転手には、年齢の下限はあるものの、上限に決まりはありません。
4. タクシー運転手の平均年齢が高くなっている背景
タクシー運転手の平均年齢が高い背景には、いくつかの要因が重なっています。
ひとつに、他業種からの転職者が非常に多い点が挙げられます。
特に定年退職や早期退職を迎えた方が、第二のキャリアとしてタクシー業界に入るケースは少なくありません。
業務に必要な資格が比較的取得しやすいことや体力的な負担が大きくないこと、そして柔軟な勤務体系が選べることが、中高年層にとって魅力となっています。
また、業界全体として若手人材の採用・定着が難しくなっていることも、高齢化に拍車をかけている要因です。
夜勤や長時間勤務がネックとなり、若い世代にとっては働きづらいと感じられる傾向があります。
こうした環境が続くことが、結果的に高齢者比率の高い状態を維持させているのです。
5. タクシー運転手の平均勤続年数
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の統計によると、平均勤続年数は9.3年となっています。
企業全体の平均勤続年数が12.7年であるため、タクシー運転手の平均勤続年数は低いといえるでしょう。
この背景には、同業他社への転職を繰り返すことが関係しているようです。
また、中高年の方が異業種から転職してタクシー運転手になることも平均勤続年数を下げる要因となっています。
平均年齢が高くなる分、継続できる年数が短くなるためです。
例えば、60歳でそれまで勤めていた営業職を退職し62歳で運転手になった場合、70歳まで勤めても8年での退職となります。
このように、高齢ドライバーが増えることが関係し、平均勤続年数は短くなっているといえます。
6. 未経験からタクシー運転手になるために必要なこと
タクシー運転手になるために、特別な職歴や業界経験は必要ありません。
未経験からでも挑戦できる職業ですが、必須となるのが、普通二種免許の取得です。
加えて、運転技術、接客マナーや地域の地理に関する知識も求められます。
6-1. 普通二種免許
タクシー運転手として有料でお客様を乗せるには、「普通自動車二種免許」が必要です。
これは一般的な第一種免許とは異なり、乗客の安全を守るための運転技術や法令知識が求められます。
教習所に通えば、最短7日ほどで取得可能で、費用の目安はおおよそ21万~30万円です。
ただし、多くのタクシー会社では、免許取得費用の全額または一部を補助しています。
内定後や入社後に、取得を支援する制度を設けている企業も珍しくありません。
求人情報をチェックする際は、免許取得支援の有無を確認すると、未経験者でも安心して応募できるでしょう。
6-2. 必要なスキルや適性
タクシー運転手として活躍するには、ただ運転ができるだけでは不十分です。
安全運転はもちろんのこと、丁寧な接客マナーや、幅広い年齢層のお客様と接するための柔軟なコミュニケーション能力が求められます。
また、地理への理解を深める努力や、ナビゲーションアプリの活用スキルも必要です。
体力面では極端な負荷は少ないものの、長時間の運転に集中できる精神力や忍耐力は重要な要素といえるでしょう。
さらに、地域の交通状況やイベント情報などに日頃から目を向けておくと、効率的なルート選択やお客様との会話にも活かせます。
こうした姿勢が、リピーターや高評価につながる可能性もあります。
7. まとめ
タクシー運転手は、平均年齢が57歳を超える高齢化が進む業界ですが、その背景には未経験でも始めやすく、年齢に関係なく働ける環境が整っていることが挙げられます。
定年後の再就職や転職先として選ばれることも多く、企業所属と個人タクシーでは働ける年齢や条件に違いがあります。
普通二種免許や基本的な接客スキルがあれば挑戦できるため、中高年にとって現実的な選択肢です。
長く安定して働きたい方に適した職業といえるでしょう。
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