「タクシードライバーはどうやって道を覚えている？」

「なにか効果的な道の覚え方はある？」

 

タクシードライバーとして働いている方や、これから目指そうとしている方のなかには、このような悩みを抱えている場合があるかもしれません。

運転が好きでタクシードライバーに魅力を感じていても、「地理に自信がない」「方向感覚が頼りない」といった不安はつきものです。

 

この記事では、タクシードライバーが実践する「道の覚え方」の基本から、具体的なコツをまとめました。

プロが実践している方法を知り、ぜひ自分に合った方法を試してみてください。

 

1.タクシードライバーが道を覚える必要性とメリット

 

タクシードライバーの仕事は、単に目的地へお客様をお連れするためだけではありません。

目的地へ向かう際、どのルートを選ぶかも重要になります。

 

ここでは、タクシードライバーが道を覚える必要性とメリットについて見ていきましょう。

 

1-1.お客様の信頼と満足度向上へ

 

タクシーに乗るお客様が求めるのは、迅速かつ確実な目的地への到着です。

ドライバーが道を熟知し、状況に応じて的確なルートを選択できれば、お客様は安心して乗車できるでしょう。

 

安心できる乗車体験は、お客様からの信頼度向上につながります。

また、急な要望に応え、渋滞を避けるルートでご案内できれば、顧客満足度アップにも効果的です。

 

逆にいうと、道を覚えていなければお客様から信頼を得られなかったり、不満につながったりするかもしれません。

トラブルを未然に防ぐという観点からも、道を覚えておくことは非常に重要です。

 

1-2.営業効率と収入アップの鍵

 

道を覚えることは、お客様の満足度向上だけでなく、タクシードライバー自身の営業効率と収入アップにも不可欠です。

地理に精通していれば、お客様が乗車していないときでも、エリア移動を効率的に行えます。

そのため、無駄な走行時間の削減にもつながるでしょう。

 

主要な幹線道路や抜け道、時間帯や曜日ごとの交通状況の傾向を把握しておけば、1日の営業計画が立てやすくなります。

一日の乗務回数や売上の増加を目指すなら、道を覚えておくことが非常に重要です。

 

1-3.自信を持って運転する土台に

 

タクシードライバーが道を覚えていれば、自信を持って運転することもできるようになります。

自信を持った状態で運転ができれば、精神的にも余裕が生まれ、接客対応やコミュニケーションなどにもよい影響をもたらすでしょう。

 

運転中に焦りやプレッシャーが生まれてしまうと、安全運転に支障をきたす恐れもあります。

道を覚えることは、プロのタクシードライバーとしての自信の源であり、日々の業務を安全かつ心穏やかに遂行するための、揺るぎない土台となるのです。

 

2.【基本】タクシードライバーの道の覚え方3選

 

タクシードライバーが道を覚えることには、さまざまなメリットがあると分かりました。

しかし、どのように道を覚えればよいかと疑問を覚える方もいるでしょう。

 

ここからは具体的なタクシードライバーの道の覚え方について、詳しく解説します。

 

2-1.全体像を把握する

 

タクシードライバーとして道を覚える際は、全体像を把握するようにしましょう。

例えば、営業エリア全体の「大きな骨格」を掴むことが重要です。

 

営業エリアの全体像を把握する際は、主要な国道やバイパス、幹線道路などの大きな道路を基準にすると覚えやすくなります。

さらに、鉄道の路線や大きな川、山などの自然も目印として活用すると、地図のイメージがつかみやすくなるでしょう。

 

方角や位置関係、エリア全体の形を把握することは、タクシードライバーが道を覚えるうえで効果的な方法です。

 

2-2.ランドマークを活用して覚える

 

自身の営業エリアによっては、具体的な目印となる「ランドマーク」があるはずです。

主要駅や商業施設、学校などを目印にすれば、道を覚えるのに役立つでしょう。

 

地図上で位置関係を把握するのも大切ですが、余裕があれば一度訪問してみてください。

周辺の抜け道や交通量などを把握すれば、より効果的な走行ができるはずです。

 

また、ランドマーク同士を「線」として意識することも大切です。

点として覚えるのではなく、線としてのつながりを意識すれば、スムーズにルートを把握できるようになるでしょう。

 

2-3.方向感覚を養う

 

実際にタクシードライバーとして働くうえで、特に重要になるのが「方向感覚」です。

方向感覚があるとないとでは、知らない道に入り込んだ際の対応力に差が生まれます。

 

方向感覚を養うためには、日常生活から太陽の位置や自分が向いている方向を意識するとよいでしょう。

目的地がどの方角にあるかを把握するのも、重要なポイントとなります。

 

地図を見る際は、ただ道筋を追うのではなく、現在地から見てどの方向に目的地があるかの意識を持つとよいかもしれません。

ナビに頼り切らず、運転中に「北へ向かっている」と意識すると、方向感覚を養う効果に期待できます。

 

3.現役ドライバーが実践している道の覚え方の5つのコツ

 

道の覚え方の基本を理解したら、次は現役ドライバーが実践している道の覚え方のコツも把握しましょう。

 

ここでは具体的な方法として、5つの内容をまとめました。

 

3-1.実際に走って覚える

 

現役ドライバーの多くは、実際に道を走って覚えています。

 

実際に運転して初めて、地図上からでは読み取れない道幅や坂道の勾配、路面の状態などを把握できます。

また、時間帯による交通量や客層の変化などをつかむのにも効果的です。

 

特に、新人ドライバーのうちは、積極的に担当エリアをドライブしてみましょう。

最初は主要道路を走行し、慣れてきたら裏道に入ってみてください。

 

少しずつ範囲を広げていけば、お客様をスムーズにご案内するための知識を得られるはずです。

 

3-2.利用者としてほかのタクシーに乗車する

 

自分自身がお客様の立場に立ってタクシーを利用してみることも、非常に有効な「道の覚え方」の一つです。

経験豊富なドライバーが運転するタクシーに乗車できれば、どの道を選択し、どのタイミングで車線変更をするのかなどの技術を感じられます。

 

利用者としてほかのタクシーに乗車する場合は、自分が普段運転しているエリアや、これから重点的に覚えたいと考えている地域で乗車してみるのがおすすめです。

客観的な視点から道の流れや特徴を再確認できるだけでなく、お客様がどのような点に快適さや不安を感じるのかといった気づきも得られるでしょう。

 

3-3.メモを活用して覚える

 

どれだけ道を覚えたいと考えていても、記憶するのには限界があります。

せっかく道や情報を覚えたとしても、いざというときに活用できなければ意味がありません。

 

そんなときに活用できるのが「メモを活用して覚える」方法です。

 

新しく覚えた道筋はもちろん、目印となる建物や看板、一方通行や時間帯規制といった交通ルールなどをメモしておきましょう。

また、お客様から教えてもらった抜け道や、特定の時間帯の交通状況などを書き留めておくと良いかもしれません。

 

メモの方法にはさまざまなものがあるため、自分に合った方法を選んでください。

作成したメモは定期的に見返し、自分だけのオリジナルマップとして業務に活かすことが推奨されます。

 

3-4.先輩や同僚に聞いてみる

 

身近に相談できる先輩や同僚がいるなら、一度相談してみるのも一つの方法です。

 

長年そのエリアで運転しているドライバーは、地図には載っていない実践的な情報を持ち合わせています。

例えば、特定の時間帯だけ有効な抜け道、新しい道路や建物などの情報が挙げられます。

 

ただし、質問する際は相手の状況を考慮し、タイミングを見計らうことも大切です。

また、あくまでも教えてもらう立場であるため、謙虚な姿勢で相談しましょう。

 

3-5.同じ道を何回も走ってみる

 

道を覚える際、一度通ったり地図を見たりするだけではなかなか理解できません。

道をしっかりと覚えるのであれば、同じ道を何回も走行することをおすすめします。

 

特に、営業エリアが固定されている場合、業務中に同じルートを通る機会があります。

その際、意識的に目印や分岐点を確認すれば、記憶を呼び起こすよい機会となるでしょう。

 

特に覚えたい主要なルートや複雑な交差点などは、業務外であっても、時間帯を変えて何度か実際に走行してみてください。

一日の終わりに地図を見返してその日通った道を辿ったり、寝る前に頭の中で特定のルートをイメージ走行したりするだけでも、記憶の定着度は大きく変わってきます。

 

4.タクシードライバーが道を覚えるために地図アプリを活用するのも効果的

 

タクシードライバーが道を覚えるのであれば、地図アプリを活用するのも効果的です。

ここでは地図アプリの選び方や活用方法などについて、詳しくまとめました。

 

4-1.タクシードライバー向け地図アプリの選び方

 

地図アプリといっても、その種類はさまざまです。

地図アプリを選ぶ際は、タクシードライバーの業務を効率的にサポートしてくれるものを選びましょう。

 

まず注目したいのは、正確なナビゲーション機能があるかどうかです。

一方通行やUターン禁止、時間帯による交通規制などをしっかり反映しているかは必ずチェックしてください。

 

また、ルートの再検索機能がスムーズであれば、万が一道を間違えてしまった場合でも、リカバリーしやすいでしょう。

リアルタイムの渋滞情報や交通規制情報の精度が高ければ、混雑を避けて営業を行えます。

 

現在は、無料アプリでも高機能なものが多いですが、必要に応じて有料アプリも検討してみてください。

無料アプリでは得られない詳細情報や快適な使用感など、さまざまな魅力があります。

 

4-2.効果的な地図アプリ活用法

 

地図アプリを業務に取り入れるなら、効果的な活用方法も知っておきましょう。

地図アプリは、単に目的地へ案内してくれるナビゲーションとしてだけでなく、「道の覚え方」の学習ツールとして活用可能です。

 

例えば、乗務前には、予約が入っているお客様の迎車地や目的地周辺のルートをアプリで事前にシミュレーションし、複数のルート候補を比較検討します。

乗務後には、実際に通ったルートを振り返り、より効率的な道はなかったかなどを地図アプリで確認するのも効果的です。

 

特に、便利なのがストリートビュー機能です。

これまでに走ったことのないエリアや、複雑な交差点などを画像で事前に確認しておけば、実際に走行する際にも地図情報が結び付きやすいでしょう。

 

ブックマーク機能やメモ機能を活用すれば、自分だけのデジタルマップを作り上げることもできます。

 

4-3.アプリ以外の便利ツール・アイテム

 

地図アプリは便利なツール・アイテムですが、昔ながらのアナログツールには依然として大きなメリットがあります。

 

例えば、紙の住宅地図や詳細な道路地図は、画面をスクロールする必要がありません。

エリア全体の地理関係を俯瞰的に把握できるのは、地図アプリにはないメリットといえます。

 

このことから、地図アプリと併用しつつ、ほかのツールやアイテムを活用することが大切です。

 

また、ドライブレコーダーを搭載しているなら、その映像を後で見返すのもよいでしょう。

実際に通った道の風景や運転操作を客観的に確認できます。

 

地名や施設名、実際の場所・建物などを、自分のなかで一致させるのも、道を覚える方法として効果的です。

 

4-4.【注意】アプリやナビに頼りすぎないようにする

 

地図アプリやカーナビは非常に便利なツールです。

タクシードライバー業務にも不可欠なツールと考えられていますが、頼りすぎてしまわないように注意しましょう。

 

営業中にナビの指示に従うだけでは、自分でルートを考えたり、周囲の地理を意識したりする機会が減少します。

結果として実践的な「道の覚え方」から遠ざかってしまうかもしれません。

また、咄嗟の状況判断能力が養われにくいリスクも伴います。

 

さらに、スマートフォンのバッテリー切れ、アプリの不具合、GPSの電波障害などが発生すると、業務に支障をきたす恐れもあるでしょう。

そのような場合でも冷静に対応できるよう、基本的な地理知識や主要なルートは必ず自分の頭に入れておくことが、プロのドライバーとしての最低限の務めです。

 

地図アプリはあくまで強力な「補助ツール」と捉え、最終的には自身の知識と判断で運転することを目指しましょう。

 

5.まとめ

 

この記事では、タクシードライバーの道の覚え方に関する基本的な考え方から、現役ドライバーが実践するコツ、そして地図アプリの効果的な活用法までご紹介しました。

 

道の覚え方に関して悩む人は少なくありませんが、コツやポイントを押さえておけば、必要な地理感覚は身につけられるでしょう。

道を覚えて営業することで、精神的な負担が軽減されるだけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。

 

この記事で紹介した内容をもとに、自分に合った方法で道を覚える練習をぜひ始めてみてください。

また、あなたの「タクシードライバーになりたい」という想いを実現するためのヒントとなり、自信を持って新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。