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社用車の経費について徹底解説!ガソリン代や駐車場代などの取り扱いまとめ

社用車の経費について徹底解説!ガソリン代や駐車場代などの取り扱いまとめ

社用車を導入する際、「どこまで経費にできるのか?」「ローンやリースの違いは?」と疑問に感じる方も多いでしょう。

実は、購入方法や運用形態によって会計処理や節税効果は大きく異なります。

 

本記事では、ローン・リース・中古車購入といった導入パターン別に、社用車を経費として正しく計上する方法をわかりやすくまとめました。

保険料や燃料費などの経費処理、家事按分の考え方、税務上の注意点まで、実務に役立つポイントもご紹介しています。

 

1. 社用車は経費に計上可能

 

社用車にかかる費用は、事業に必要な支出であれば原則、経費として計上できます。

購入費用は資産計上のうえで減価償却が必要ですが、ガソリン代や保険料、車検費用、駐車場代などの維持費は、日々の経費として処理可能です。

 

ただし、私的利用が含まれる場合は「家事按分」により業務使用分のみを計上し、走行記録などの根拠になるデータを残さなければなりません。

また、高級車など業務に不相応な車両は経費として認められない場合もあるため、用途や常識的な範囲に注意が必要です。

 

2. 【パターン別】社用車を経費計上する方法

 

社用車を導入する方法によって、会計処理や節税効果は大きく異なります。

ここでは、ローン購入・リース契約・中古車購入の3つの代表的なケースについて、それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。

 

2-1. ローン購入の場合

 

ローンで社用車を購入した際は、「車両運搬具」として資産計上されます。

購入金額は一括で経費計上するのではなく、法定耐用年数に応じて減価償却が必要です。

 

例えば普通自動車の場合、原則6年で均等に償却することとなります。

ローンの場合は元本と利息の部分に分かれ、利息部分はその年の経費(支払利息)として計上できます。

 

しかし、元本部分は資産取得に伴う負債返済のため経費にならない点に注意しましょう。

経理処理がやや複雑ですが、初期費用を抑えつつ自社資産として車を保有できる点がメリットです。

 

2-2. リース契約の場合

 

リース契約の場合、一般的には「所有権移転外ファイナンス・リース」に該当し、毎月のリース料を全額経費計上できます。

勘定科目は「リース料」「車両費」などとなり、資産計上や減価償却が不要で、会計処理は非常にシンプルです。

 

ただし、契約の内容によっては、ファイナンス・リース取引(実質的な所有)とみなされるケースもあり、その場合は資産計上・減価償却をしなければなりません。

 

契約終了時に所有権が移転するか否かが判断基準の一つとなるため、契約書の確認は必須です。

なお、コストが平準化されることや、メンテナンス込みの契約が可能な点も、リース契約の利点となります。

 

2-3. 中古車購入の場合

 

中古車を社用車として購入した場合は、新車と同様に資産として計上し、減価償却を行います。

ただし、中古車には減価償却期間が短縮できる特例があり、これが大きな節税ポイントです。

 

中古車の耐用年数は、一般的に「簡便法」と呼ばれる方法で次のように計算します。

法定耐用年数 − 経過年数 +(経過年数 × 20%)

 

例えば、4年落ちの普通自動車(法定耐用年数6年)の場合は、6年- 4年+ 4年×0.2=約2.8年となる計算です。

なお、端数は切り捨てとなるため2年で減価償却が完了する点には注意しましょう。

とはいえ、短期間で多くの経費を計上できる点が魅力です。

 

さらに、中古車は新車よりも価格が安いため、初期投資を抑えつつ、効果的な節税が期待できます。

ただし、耐用年数の見積もりが適切でないと、税務調査で否認されるリスクがあるため、専門家に確認しながら帳簿を正しく整備することが重要です。

 

3. 社用車に関連する経費計上できるもの

 

社用車の運用にはさまざまな費用が発生します。

ここでは、それぞれの費用に対応する適切な勘定科目と、経費処理の際に注意すべきポイントについて見ていきましょう。

 

3-1. 自動車保険料

 

自賠責保険(法律で加入が義務づけられている保険)や任意保険(自賠責保険では補えない部分を補償するための保険)の保険料は、原則として全額を経費として計上可能です。

勘定科目は「損害保険料」が一般的ですが、「保険料」や「車両費」で処理されることもあります。

 

3-2. 車検費用

 

車検時にかかる点検や整備費用、検査手数料などは、「修繕費」または「車両費」として処理されます。

一方で、車検と同時に支払う自動車重量税や自賠責保険料は、それぞれ「租税公課」「損害保険料」として別々に仕訳するのが適切です。

 

3-3. 自動車税・自動車重量税

 

車両を所有している限り毎年課税される「自動車税」「軽自動車税」や、車検時に納付する「自動車重量税」などの法定税も、すべて経費として処理可能です。

これらは共通して「租税公課」として仕訳します。

また、車の購入時に課税される「自動車取得税(現在の環境性能割)」も、同じく「租税公課」で処理するのが一般的です。

 

3-4. ガソリン代

 

ガソリンや軽油、エンジンオイルなどの燃料費も、社用車の運用に欠かせない費用です。

勘定科目としては「車両費」「燃料費」「旅費交通費」などが使われます。

どの科目を使用するかは社内ルールに従うのが原則であり、「車両費」にまとめて一元管理するケースも多く見られます。

 

3-5. 駐車場代

 

駐車場の利用方法によって、適切な勘定科目は異なります。

月極契約の駐車場代は「地代家賃」で処理するのが一般的です。

一方、コインパーキングなどの時間貸し駐車場は、「旅費交通費」または「雑費」として処理されるケースが多くあります。

 

3-6. 洗車代

 

洗車サービスの利用料や、洗車用品の購入費も経費として計上可能です。

通常は「車両費」または「修繕費」「雑費」として処理します。

 

3-7. その他備品代

 

カーナビ、ETC、ドライブレコーダー、タイヤなどの車両用備品の購入費用も経費として処理できますが、取得金額に応じた対応が必要です。

・10万円未満:原則として「消耗品費」として一括経費処理可能
・10万円以上:原則「車両運搬具」として資産計上

なお、中小企業であれば「少額減価償却資産の特例」により、30万円未満であれば一括経費処理が可能なケースもあります。

 

4. 社用車を経費計上する際の注意点

 

社用車を経費計上する際は、業務使用であることを明確にしましょう。

私的利用が含まれる場合は、その割合を除外して計上しなければなりません。

 

ガソリン代や保険料、車検費用、修理費用なども同様に按分が必要です。

また、車両購入時には資産計上し、耐用年数に応じて減価償却を行う必要があります。

 

業務使用と私的利用を区別するには、走行距離や利用目的を記録することが重要です。

役員や従業員に貸与する場合は、給与課税や福利厚生費の扱いになる場合があるため、税務上の取扱いを事前に確認するようにしましょう。

 

5. まとめ

 

社用車は、取得方法や運用実態に応じて適切に経費計上することで、節税効果を高めつつ資金管理の効率化が図れます。

ローン購入では資産計上と減価償却が必要となり、リースでは月額費用を全額経費にできるなど、方法ごとに異なる特徴がある点に注意しましょう。

さらに、保険料・車検費・ガソリン代などの運用コストも経費化が可能ですが、私用との区別があいまいな場合は「家事按分」による対応と記録の保存が不可欠です。

高級車や私的流用には注意し、実態に即した処理を心がけましょう。