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役員運転手とハイヤーの違いとは?メリット・デメリットを徹底解説

役員運転手とハイヤーの違いとは?メリット・デメリットを徹底解説

企業の役員送迎においては、役員専属の運転手を雇うべきか、必要に応じてハイヤーを利用するべきかという選択が常につきまといます。

どちらも一長一短があり、コスト面の効率性、運用の柔軟性、稼働頻度、そして役員の安全・安心・機密保持の水準で変わります。

 

本記事では、役員運転手とハイヤーの違いとメリット・デメリットを整理し、自社の状況に合った送迎サービスを選ぶための判断基準をまとめました。

あわせて、車両の所有・仕様、料金体系・費用構造、必要な免許、業務形態・勤務形態を軸に、固定費と都度課金、運行の起点・終点や付随業務の範囲まで比較します。

 

1. 役員運転手とハイヤーの4つの違い

 

役員運転手とハイヤーは、どちらも送迎を行うサービスですが、仕組みや契約形態、利用シーンが大きく異なります。

主な違いは「車両の所有・仕様」「料金体系・費用構造」「必要な免許」「業務形態・勤務形態」の4点です。

 

ここでは、それぞれの違いを具体的に解説します。

 

1-1. 車両の所有者・使用車種

 

役員運転手は通常、自社で所有、またはリース契約で管理する社用車を用います。

これに対し、ハイヤーは企業が保有または管理する車両を使うのが一般的です。

 

車両の登録にも違いがあります。

 

役員運転手用の車は、旅客運送が目的ではありません。

そのため自家用車としての登録となり、白ナンバーが使用されます。

対してハイヤーは、旅客運送を目的とした営業車両として登録するため、営業用の緑ナンバーでの登録が必要です。

 

車種についても、社用車は役員の好みに応じて高級セダンや特注仕様の車を選ぶ傾向にあるでしょう。

ハイヤーの場合は、ハイヤー会社が保有する車から選ぶこととなります。

 

1-2. 料金体系と費用構造

 

役員運転手の契約形態は、直接雇用の場合、自社での給与支給となります。

また、派遣や業務委託の場合は、月額契約がベースになることが多いです。

 

一方、ハイヤーは利用頻度や送迎区間、車種などの条件により基本料金が定められます。

ハイヤー会社側が車両維持のコストを抱えており、その分が利用料金に反映されるのが一般的です。

 

さらに、有料道路や有料駐車場を使用した場合、別途課金されることが多く、ハイヤー利用では契約範囲外の付帯費用が発生しやすい点が特徴です。

 

1-3. 必要な免許

 

役員運転手として運転する場合、多くは企業が所有する社用車(白ナンバー)を使用します。

そのため、普通自動車第一種運転免許で事足りるケースが一般的です。

 

これに対し、ハイヤー運転手は旅客を有償で運送する営業車両(緑ナンバー)を扱うため、普通自動車第二種運転免許が必要です。

この差は、単なる車を運転するか、事業目的で乗客を運ぶかという法的な区別に起因しています。

 

1-4. 業務形態や勤務形態などのサービス範囲

 

役員運転手は自社雇用するケース、もしくは派遣・業務委託会社から運転手が派遣されるケースとなります。

これにより、常勤・フルタイムで役員に付き添う形が基本です。

車両準備、ルート設定、スケジュール管理、車内清掃などの付随業務を任されることも珍しくありません。

 

一方、ハイヤーはスポット利用が基本で、利用者の要望に応じて手配されます。

運転・送迎業務が中心で、付随業務は限定されることが一般的です。

 

運行起点・終点もハイヤー会社の営業所を出発・帰着とすることが多くなります。

 

2. 役員運転手とハイヤーのメリット・デメリット

 

役員運転手とハイヤーには、選び方によってそれぞれのメリットやデメリットが違います。

ここでは具体的にどのような内容が挙げられるのかを見ていきましょう。

 

2-1. 役員運転手のメリット・デメリット

 

役員運転手は専属での運転・付随業務までカバーでき、業務連続性に強みがあります。

一方、雇用・管理の固定費負担や代替要員の確保など、社内運用ならではの課題も念頭に置く必要があります。

 

2-1-1. メリット

 

役員は運転から解放され、移動中に資料確認や電話対応など業務を継続できるメリットがあります。

専属ドライバー体制により、万一のトラブル対応や車両管理を含む安全面の担保が図れ、企業イメージを損なうリスクの低減にもつながります。

 

さらに、日々の送迎を通じてドライバーが動線や好みを把握し、求める準備や機密性の高い対応をしてもらえる点も役員運転手のメリットです。

 

2-1-2. デメリット

 

採用・教育・労務管理などの社内負担が継続的に発生し、月額の固定費化は稼働が少ない日でもコストとなるのがデメリットです。

病気・休暇・退職時の代替手配が難航すると、運行に影響しかねないこともデメリットとなります。

 

運行管理ノウハウが不足する企業では、効率面でロスが出る可能性もあります。

 

2-2. ハイヤーのメリット・デメリット

 

ハイヤーは車両・運転手・運行管理が一体で提供され、必要時だけ手配できるサービスです。

その反面、専属性や即応性の面で制約が出る場面もあり、利用頻度が高い場合はトータルコストが膨らむ可能性があります。

 

2-2-1. メリット

 

自社で車両の購入や維持、人材雇用せず、必要なときにプロの運行品質を利用できるのがメリットです。

スポット・繁忙期のみの増車など、利用状況の調整がしやすく、運行管理や接遇教育を積んだ事業者により、運転手のサービス品質と信頼性が見込めます。

 

初期導入コストを抑えつつ、対外的な来客対応にも活用しやすい点が特徴といえるでしょう。

 

2-2-2. デメリット

 

時間・距離課金のため利用頻度が高い企業では割高になり得ます。

都度手配の性質上、毎回同じドライバー・車両を確保できるとは限らず、きめ細かな継続対応が難しい場合もあります。

 

また、急な予定変更時は車両の空き状況や配車能力の制約で、即応に限界が出ることもあるでしょう。

 

3. 役員運転手とハイヤーなら、どちらを選ぶべきか?

 

役員運転手かハイヤーを選ぶ際には、コストの視点だけではなく、車両保有の有無、移動頻度、運用ノウハウ、そして利便性・機密性などを総合的に見て判断する必要があります。

自社で社用車を保有している場合、役員運転手を雇用し、社用車を有効的に活用する選択肢が取れるでしょう。

 

一方、車両管理にノウハウがない、あるいは利用頻度が不定期であるならば、ハイヤーの利用が初期投資を抑えつつ柔軟性を確保できる選択肢となるでしょう。

 

4. まとめ

 

役員運転手とハイヤーはいずれも役員送迎を支える手段ですが、目的や運用方法など会社の方針によって、最適な選択は異なります。

 

自社で社用車を保有し、日常的な送迎が多い企業では、専属運転手の配置で安定した運用と、柔軟な対応が得られるでしょう。

一方、社用車がなく、移動頻度が限定的な場合は、必要なときに利用できるハイヤーが、コスト面でも優れます。

 

両者の最大の違いは、所有・管理と利用・委託のスタンスにあり、自社がどのようなスタンスを選択するかです。

 

コストだけでなく、安全性・機密保持・緊急対応力といった観点も含めて、自社にあった運用を総合的に判断することが求められるでしょう。