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役員が社有車通勤する際の注意点は?税務上のリスクやトラブル対策を解説

 

役員が社有車通勤する際の注意点は?税務上のリスクやトラブル対策を解説「役員が社有車で通勤する際に注意することはある?」

社有車で通勤すれば、ガソリン代や車両維持費を会社負担にできると考える方も多いでしょう。

 

社内規定や運用ルールが整備されていれば、役員の社有車通勤自体は問題ありません。

しかし、通勤に社有車を利用した分が、役員報酬として課税される可能性がある点には注意が必要です。

 

本記事では、役員が社有車で通勤する場合のルールや条件、税務上の注意点、起こりうるトラブルと回避策を解説します。

通勤にかかる時間やコストのロスを少しでも減らしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1. 役員は社有車で通勤できる

 

社有車は会社の資産であり、使用には税務やルールにおける制限があります。

しかし、業務上合理的な理由があり、適切に管理されていれば、役員の社有車通勤は認められます。

 

社有車通勤が業務上合理的と判断されるのは、直行直帰で取引先を回る必要がある場合や、早朝・深夜の業務が多く公共交通機関の利用が困難な役員の場合などです。

ここからは、役員の社有車通勤に必要な運用ルールと注意点を確認していきましょう。

 

1-1. 役員の社有車通勤に関するルール

 

役員が社有車で通勤するには、以下の条件を満たす必要があります。

 

  • 業務に必要な通勤に限定して使用する
  • 社内規定・車両管理規定で使用ルールが明確に決められている

 

役員が直行直帰で取引先を回るなど、業務上合理的でなければなりません。

さらに、下記の項目をあらかじめ社内規定などで明確にする必要があります。

 

  •  通勤ルート
  •  社有車の使用権限
  •  私的利用の有無や利用可能な範囲
  •  事故や盗難などのトラブル時の対処法、責任の所在 など

 

上記のルールを守らないと税務リスク、事故や保険の責任リスク、社内トラブルのリスクが大きくなります。

社有車で安全かつ適正に通勤するなら、運用ルールを整備・周知しておきましょう。

 

1-2. 役員が社有車通勤する際の注意点

 

役員の社有車通勤では、税務上の取り扱いに注意しましょう。

私的な利用は経費として認められず、役員への経済的利益として課税される可能性があります。

 

対策として、私的利用との区別をするために、日付や走行距離、使用目的などを記録しておきましょう。

通勤以外の目的で使用する場合は、ガソリン代なども明確に区別する必要があります。

役員の通勤に社有車を使う際は、適切なルール設定と記録管理の徹底が重要です。

 

2. 役員の社有車通勤で起こるリスクと対策

 

役員の社有車通勤には、主に以下3つのリスクがあります。

 

  1. 事故や保険の責任リスク
  2. 経費処理の複雑化と課税負担
  3. 通勤手当の二重受給

 

上記のリスクを理解し、適切な対策を講じることで安心して社有車通勤が実現できるでしょう。

ここからは、それぞれのリスクと対策について詳しく解説します。

 

2-1. 事故や保険の責任リスク

 

役員が社有車で通勤中に事故を起こすと、会社に責任が生じる場合があります。

なぜなら、業務に必要な社有車を使った通勤は、業務の一部として会社側に使用者責任が生じるためです。

 

もし、車両の整備不良などによる事故が起きた場合も同様で、会社側にも責任が問われるでしょう。

しかし、私的利用と認められる場合は、会社の責任は限定的になります。

事故リスクを軽減するには以下の対策が有効です。

 

  • 社内規定・車両管理規定で通勤中の事故対応を明確にする
  • 自動車保険や通勤災害保険の適用範囲を事前に確認しておく
  • 定期的な車両点検を実施し事故を防ぐ

 

いずれも社有車の運用には不可欠な対策のため、社有車通勤の有無にかかわらず実施しておきましょう。

 

2-2. 経費処理の複雑化と課税負担

 

社有車通勤では、少しでも私的な利用があると経費処理が複雑になり、税務リスクが高まります。

家族の送迎、週末のレジャーなど通勤以外の目的で使用すると、会社が負担した費用は役員報酬とみなされ、給与課税の対象になる場合があるためです。

 

課税対象とみなされた場合、役員本人、会社にそれぞれ以下のような負担が発生します。

例:
【役員本人の負担】
社有車の年間維持費=約120万円
うち私的利用の割合=約30%

【会社の負担】
役員報酬に経済的利益分を計上し、源泉徴収を追加
社会保険料負担の増加 など

役員本人は経済的利益が役員報酬として課税対象になり、所得税や住民税、社会保険料が上昇します。

一方会社側は、源泉徴収や社会保険の増加分を負担しなければなりません。

 

経費処理の複雑化と課税リスクを避けるためには、以下の対策が有効です。

 

  • 使用目的や距離を運転日報で記録する
  • 私的利用分のガソリン代は役員の個人負担にする など

 

課税対象なのに処理していないと判断された場合、税務調査で指摘される可能性があります。

使用記録を適切に管理し、透明性の高い運用を心がけましょう。

 

2-3. 通勤手当の二重受給

 

会社が車両維持費やガソリン代を負担している場合、通勤手当を支給すると二重受給になるため、原則として通勤手当は支給されません。

 

たとえば、役員が社有車で通勤しながら、マイカー通勤と同額の手当を受け取っている場合、二重受給とみなされます。

税務調査で指摘されると、過去にさかのぼって修正が求められる可能性もあります。

 

社有車通勤中は通勤手当を支給しない、また支給されている場合は速やかに返還手続きを行いましょう。

 

3.役員運転手派遣を活用すれば通勤負担を軽減できる

 

社有車で通勤したいなら、役員運転手派遣を活用するのがおすすめです。

役員運転手を活用することで、通勤での社有車利用に伴うリスクを軽減しながら快適な通勤ができます。

 

ここからは、社有車での通勤に役員運転手派遣を活用するメリットとデメリットを解説します。

 

3-1.役員運転手派遣を活用するメリット

 

役員運転手派遣を活用すると、税務リスクや事故リスクを軽減できます。

さらに、日々の運行記録や使用実態を役員運転手に任せられるため、運行管理の透明性を確保できます。

 

また、運転を任せられるので、移動時間を有効活用して仕事の準備などを進められる でしょう。

これらのメリットにより、役員は安心して社有車で通勤しながら、業務に集中できる環境を整えられます。

 

3-2.役員運転手派遣を活用するデメリット

 

役員運転手派遣を利用すると、派遣費用がかかります。

月額で数十万円以上のコストが発生するため、コスト削減のために社有車通勤したい場合は適さないでしょう。

 

また、運転手の入れ替わるリスクもあります。

派遣される運転手によってサービスの品質にばらつきがあったり、関係性を築き直したりする必要があります。

 

これらのデメリットを理解したうえで、予算や必要性と照らし合わせて導入を検討するとよいでしょう。

 

4. まとめ

 

役員が社有車で通勤することは可能ですが、適切なルールと管理体制が欠かせません。

安全かつ適正に社有車通勤をするためには、以下のポイントを押さえましょう。

 

  • 明確なルールを整備する
  • 使用記録を徹底する
  • 税務リスクに注意する
  • 保険の適用範囲を確認する
  • 通勤手当の二重受給を避ける

 

また、役員運転手派遣を活用することで、これらのリスクを軽減しながら、効率的な通勤を実現できます。

役員の社有車通勤に関して検討中の場合は、上記のポイントを踏まえて最適な方法を選択しましょう。