カーリースに節税効果はある?利用するメリットや注意点・購入との違いを解説
2025年11月21日

社用車の手配にカーリースを検討しているものの、節税効果について気になる方もいるでしょう。
カーリースは、節税対策に効果的な手段の1つです。
ただし、具体的な節税効果の内容や購入との違いを理解しなければ、正しく活用できません。
そこでこの記事では、カーリースの節税効果について詳しく解説します。
購入との違いや節税以外のメリット、利用時の注意点などもあわせてご紹介するので、カーリースの利用に迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1. カーリースに節税効果はある?
カーリースのリース料金は、経費として計上可能です。
そのため、法人・個人事業主がカーリースを事業のなかで利用した場合、節税効果が期待できます。
ここからは、カーリースに関する具体的な節税効果を詳しく解説します。
1-1.カーリースの具体的な節税効果
カーリースの利用でかかる月額料金は、全額経費として計上できます。
カーリースの月額料金の内訳は、以下のとおりです。
- 車両本体価格
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険料
- 車検代
- 登録諸費用
- 納車費用 など
カーリースには、上記のように法定費用・車検費用・メンテナンス費用・各種税金・自賠責保険料などが含まれています。
カーリースは車を購入する場合とは違い「残価設定」が設けられるため、契約期間が満了したときの車両価値(残価)が、本来の車両本体価格から差し引かれます。
これにより、車両本体価格の支払い総額を安く抑えられるため、支払いの負担軽減が可能です。
また、カーリースは節税だけでなく月々の支払いを抑えられる点も魅力の1つです。
1-2.カーリースと車の購入における節税効果の違い
カーリースと社用車を購入するのでは、節税効果の内容が異なります。
両者の主な節税効果の違いは、以下のとおりです。
| カーリース | リース料金の全額を経費計上可能 |
| 車の購入(現金一括) | 取得費用を減価償却費として分割で計上可能 |
| 車の購入(ローン購入) | 減価償却費と月々の利息分が経費として計上可能 |
車を現金一括で購入した場合、減価償却が適用されます。
減価償却とは、固定資産の価値は時間経過とともに下がっていくという考え方で、車の購入も対象です。
具体的には、車両本体価格を法定耐用年数で分割して経費として計上します。
新車の法定耐用年数は、普通自動車が6年、軽自動車は4年です。
計算方法には、個人事業主の場合は「定額法」、法人には「定率法」が用いられます。
| 定額法 | 法定耐用年数の期間で均等に分割して計上する方法 |
| 定率法 | 資産の残存価格に定率法の償却率をかけて計上する方法 |
仮に個人事業主が新車の普通車を500万円で購入した場合、1年間で500万円÷6=約83万円になります。
どちらもカーリースのように、購入した年に購入費用の全額を経費として計上することはできないため、カーリースは即効性の高い節税対策といえます。
2.節税以外の効果もある!法人・個人事業主がカーリースを利用するメリット
法人や個人事業主がカーリースを活用すると、節税以外にもさまざまな効果があります。
ここからは、法人や個人事業主がカーリースを利用するメリットを詳しく解説します。
2-1.初期費用不要で新車を手配できる
カーリースの大きなメリットは、初期費用不要で新車を手配できる点です。
通常、車を購入する場合には頭金や登録時の諸費用などがかかります。
しかし、カーリースは頭金や登録時の諸費用などはリース料金に含まれているため、初期費用は発生しません。
そのため、事業資金に余裕がなく、車を購入するのが厳しい中小企業や個人事業主にとって大きな救いになるでしょう。
2-2.経費処理の負担を軽減できる
カーリースは、経費処理の負担を軽減できる点もメリットです。
なぜなら、カーリースの車の所有者はリース会社のため、固定資産にはなりません。
通常であれば、車を購入する場合は固定資産となるため、減価償却の対象になります。
そのため、車両本体価格を法定耐用年数で分割して、経費計上しなければなりません。
さらに、車検費用や自賠責保険料などは個別で計上する必要があるため、複数の勘定科目を使用しながら仕訳をする手間がかかります。
しかし、カーリースであれば、購入価格や車の所有に関わる諸費用はリース料に含まれているため、リース料金を計上するだけで経費処理を済ませられます。
2-3.管理・維持コストは一定で急な出費が発生しない
カーリースは、定額で車を手配できるのも魅力です。
車を購入する場合、購入代金以外にも車検費用やメンテナンス費用、消耗品の交換費用などが発生します。
しかし、カーリースの料金には、自動車税や自賠責保険料、プランによっては車検費用・メンテナンス費用まで含まれているため、毎月のリース料金以外の出費がありません。
カーリースであれば、急に多額の出費が発生する心配はないため、複数台の車両を手配しても予算管理がしやすくなります。
2-4.車両入れ替えに手間がかからない
車を購入した場合、新しい車に入れ替えるには、車を売却したり新しい車を探して購入手続きをしたりする手間が必要です。
また、購入した車を売却するときには、売却損益を計上する手間もかかります。
しかし、カーリースなら契約満了時に車を返却し、新車をリースし直すだけで入れ替えができます。
複数台の車両を手配し、数年単位などのスパンで入れ替えをしたいと考えているのであれば、余計な手間が省けるカーリースは非常に便利なサービスといえるでしょう。
3.【法人・個人事業主】カーリースと車の購入どちらがお得?
カーリースは、初期費用不要で新車を手配したり、経費処理の負担を軽減できたりなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、カーリースを利用すべきか、購入して車を用意すべきか悩んでいる方もいるでしょう。
ここからは、法人・個人事業主が社用車を手配する際、カーリースと車の購入は結局どちらが得になるのかを詳しく解説します。
3-1.「支払い総額を安く抑える」なら一括購入
支払い総額をできる限り安く抑えたいのであれば、現金一括購入がお得です。
カーリースの場合、車両価格などにくわえてリース会社の手数料も含まれるため、支払い総額が高くなりやすい傾向があります。
ローン購入も金利が発生するため、現金一括よりも支払い総額が高くなります。
そのため、支払い総額をできる限り抑えたい場合は、現金一括で購入して車を手配するのがおすすめです。
3-2.「人的コストを減らしながら節税対策もしたい」ならカーリース
人的なコストを削減しながら節税対策もしたいと考えている方は、カーリースの利用がおすすめです。
カーリースなら、リース料金をすべて経費として計上できます。
メンテナンスや修理、車検などもリース会社が整備工場で実施してくれるため、維持管理を実施する人員を確保する必要もありません。
そのため、節税だけでなく人的コストの削減効果にもつながります。
4. カーリースを節税目的で利用する際の注意点
カーリースには節税効果があるものの、中途解約が基本的にできなかったり、使い方によっては追加料金が発生したりする可能性があります。
そのため、カーリースを利用する際には走行距離・契約期間など細かい部分まで、注意深く確認しなければなりません。
ここからは、カーリースを節税目的で利用する際の注意点を解説します。
4-1.走行距離制限の超過分は追加料金が発生する
カーリースは、月間の走行距離に制限を設けているケースが多く、走行距離制限を超えて使用した場合、契約満了時に追加料金の支払いが発生します。
走行距離制限は利用者が選択できるため、事前に毎月の走行距離をシミュレーションし、余裕を持った距離に設定しておくと安心です。
ただし、走行距離制限がない契約形態もあります。
距離を気にせず使用したい方は、走行距離制限のないカーリースを選びましょう。
4-2.現金一括での購入よりも支払い総額が高くなる可能性がある
カーリースは節税効果があり、経費処理の負担も軽減できるサービスです。
しかし、支払い総額には車両価格や税金、保険料だけでなく、リース会社の手数料も含まれています。
そのため、現金一括払いでの購入に比べると、支払い総額は高くなる傾向があります。
契約期間が長いほど支払い総額が高くなるため、カーリースを利用する際には複数社で見積もりを取り、比較検討しましょう。
4-3.中途解約は基本的にできない
カーリースは、基本的に中途解約ができません。
やむを得ない事情で中途解約する場合にも、契約満了までの残金をまとめて支払う必要があります。
また、リース会社によっては違約金が発生するケースもあり、契約期間を間違えると解約にかかるコストが大きな負担になる可能性があります。
そのため、中途解約せずに済むように契約年数は短い期間で設定したり、中途解約オプションがあるカーリースを利用したりするのがおすすめです。
4-4.プライベートでも利用する場合は「家事按分」で計上する必要がある
仕事だけでなくプライベートでも車を利用する場合は、「家事按分」で経費として計上しなければなりません。
家事按分とは、支出がプライベートと事業用で混ざっている場合に、事業用部分を経費として計上する方法です。
事業とプライベートでの使用割合を算出し、事業用として使用している金額のみ経費として計上できます。
たとえば、年間走行距離5,000kmのうち、仕事で使用した走行距離が2,500kmの場合、車に使った金額の2分の1は経費としての計上が可能です。
4-5.事業で必要と認められない車は経費にできない
リース会社にはさまざまな車種が用意されていますが、経費にできるのは「事業に必要である」と認められる車のみです。
高級なスポーツカーなどは私用と捉えられてしまい、社用車に選んでも経費として計上できない可能性があります。
社用車として使用する車の種類は好みで選ぶのではなく、あくまでも事業に必要な車種を選択しましょう。
5.節税対策に利用するカーリースを選ぶ際に見るべきポイント
カーリースにはさまざまな種類があり、料金や契約期間などが異なります。
そのため、カーリースを選ぶときには、いくつかのポイントの比較検討が大切です。
ここからは、節税対策に利用するカーリースを選ぶ際に確認するべきポイントを解説します。
5-1.月間走行距離
カーリースは、リース契約満了時の車の価値が走行距離で変化するため、月間走行距離を設定しているケースが一般的です。
車を使用している間に走行距離の制限を超えてしまうと、追加料金が発生します。
リース会社のなかには走行距離を無制限にしているケースもありますが、その分リース料金が高く設定されがちです。
そのため、リース会社を選ぶときには、まず1ヶ月あたりの走行距離を算出しましょう。
予算に無理のない範囲で、余裕を持った月間走行距離を設けている契約プランを選択してください。
5-2.リース期間
カーリースには、契約期間が設けられています。
契約期間はリース会社により異なり、1ヶ月や1年という短期契約から10年程度の長期で契約できるプランもあります。
カーリースでは基本的に中途解約ができないため、将来を見越して最適な期間を設定しなければなりません。
状況の変化が読めない場合は、短期間で契約できるリース会社を選ぶのがおすすめです。
5-3.月額料金
カーリースを選ぶ際には、月額料金の確認も大切です。
月額料金は、リース会社や車種、契約プランなどにより大きく異なります。
一般的には、以下の料金が月額料金に含まれます。
- 車両本体価格
- 自賠責保険料
- 車検代
- 登録諸費用
- メンテナンス費用など
予算と各リース会社のプラン内容・契約料金などを照らし合わせて、無理なく利用継続できる料金設定を選択しましょう。
6.まとめ
カーリースの料金は、経費として計上できるため、節税効果が期待できます。
車を購入する場合と違い、車両本体価格・自動車税・車検代など、車の購入費用から維持・管理費用までリース料金に含まれており、リース料金を支払うだけで車の維持・管理が可能です。
リース料金を計上するのみで完了するため、経費処理の負担も軽減できます。
ただし、事業で必要な車と認められない場合は、経費として計上できません。
また、基本的に中途解約はできないため、契約時にはプランや料金のシミュレーションが不可欠です。
法人・個人事業主で節税しながら車を手配したい方は、カーリースの利用も検討してみましょう。
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