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自動車運転代行業の仕事とは?仕組み、安全性について解説

自動車運転代行業の仕事とは?仕組み、安全性について解説

自動車運転代行業は、車の所有者が車の運転ができない状況にあるときに、代わりに所有者の車を運転して移動させてくれます。

しかし、自身の車を他の人に運転してもらうことに対して、事故時の対応や安全面に不安を感じる人も少なくありません。

本記事では、自動車運転代行業の業務内容と仕組み、法律で決められている資格や安全面の基準まで詳しく解説していきます。

 

1. 自動車運転代行業とは

 

自動車運転代行業とは、車の所有者が飲酒等の何らかの理由で運転できない際、代わりに利用者の車を目的地まで移動してもらえるサービスです。

飲酒運転の防止や、体調不良等で運転ができない際の交通安全対策として普及してきました。

 

複数の法律で必要な免許や営業要件、開業条件等が定められており、開業時には公安委員会の認定を受ける必要があります。

開業後であっても、要件が満たされていない状態が判明した場合は、認定が取り消されることもあります。

 

1-1.自動車運転代行業の役割

 

自動車運転代行業の役割は、車の所有者が何らかの理由で運転が困難な場合に、その人に代わって車を運転し、本人と車の両方を目的地へ安全に移動させることです。

 

タクシーのように「人だけを運ぶ」サービスとは異なり、自動車運転代行業は依頼者とその車の両方を目的地まで届けるという点が一番の特徴です。

そのため、自分では運転が出来ない状況を支えてくれる役割を担っています。

 

1-2.自動車運転代行の主な利用シーン

 

自動車運転代行の利用シーンと聞くと、「飲酒した時」を思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし、飲酒の有無に限らず依頼できます。

 

たとえば、薬の副作用による眠気、めまいや頭痛、長時間運転による強い疲労など、運転に支障が出るおそれがある体調不良時でも利用できます。

自動車運転代行業は、無理をして運転すべきではない状況に頼れる存在と言えるでしょう。

 

1-3.送迎代行サービス・タクシーとの違い

 

送迎代行サービスやタクシーは、基本的に事業者の車で「人を目的地まで運ぶ」サービスです。

一方、自動車運転代行は、利用者が同乗したまま「利用者の車」を運転して目的地へ届ける点が大きな違いです。

 

また、免許や制度面も異なります。

タクシーと自動車運転代行で依頼者を乗せて運転する場合は普通第二種免許が関係し、さらに、自動車運転代行は公安委員会の認定など、専用のルールに基づいて営業します。

 

2. 自動車運転代行の仕組みとドライバーの仕事

 

自動車運転代行は、依頼者の車を目的地まで安全に移動するために、「随伴車」という車両を使用し、二人一組で業務にあたります。

一人が利用者の車を運転し、もう一人は随伴車で追走します。

利用者を送り届けた後は、随伴車で営業所へ戻る流れです。

 

2-1.二人一組で運行する理由

 

「自動車運転代行業務の適正化に関する法律」で、自動車運転代行は随伴車を使用し、二人一組で運行することが定められています。

業務にあたる際、一人は利用者の車両を運転し、もう一人は随伴車で追走することが基本とされているためです。

 

この体制により、万が一のトラブル時の対応や、代行終了後にドライバーが確実に営業所へ戻れる仕組みが確保されています。

 

2-2.随伴車と依頼者の車の運転

 

自動車運転代行では、「依頼者の車」と「随伴車」の2台で運行します。

 

依頼者の車は依頼者が同乗した状態で目的地まで運転し、随伴車は後ろから追走して安全確認や連絡対応を行い、業務終了後にドライバーが営業所へ戻るための移動手段にもなります。

随伴車は利用者を乗せて走るための車ではないため、同乗させての走行はできません。

 

依頼者の車を運転する際は、普通第二種免許が必要で、車両には「代行運転自動車標識」を表示して走行します。

 

2-3.依頼から業務完了までの流れ

 

依頼を受けたら、まず二人一組で随伴車に乗り込み、依頼者の待つ場所へ向かいます。

現地に到着後、一人は依頼者から車の鍵を預かり、本人も同乗して依頼者の車を目的地まで運転し、もう一人のドライバーは随伴車で追走して安全を確保します。

 

目的地に到着したら、車の鍵を依頼者へ返却し、利用料金を受け取って業務は完了です。

その後、二人とも随伴車で営業所へ戻り、次の業務に備えます。

 

3. 自動車運転代行の利用方法と料金

 

自動車運転代行の利用を検討するにあたり、依頼方法や料金は気になるところでしょう。

依頼方法は電話や専用アプリなど、複数の種類があり、料金も距離や時間帯等によって変動します。

 

3-1.依頼の方法と利用時の流れ

 

自動車運転代行の依頼方法は主に三つに分かれます。

  • 代行業者のコールセンターへ直接電話
  • スマートフォンの専用アプリを利用
  • 飲食店等から代行業者を依頼

いずれの方法でも、依頼時に次の内容を正確に伝えることが大切です。

  • 現在地
  • 車の情報
  • 目的地
  • 利用予定時間
  • 人数

似たような車種が多い駐車場では、取り違え防止のためにナンバーまで正確に伝えることが重要です。

子どもや高齢者の同乗がある場合も、安全に対応するために事前に申告しておきましょう。

 

3-2.料金が決まる仕組み

 

自動車運転代行の料金の決まり方はタクシーと似た仕組みです。

基本的には走行距離や利用時間に応じて加算される形式が一般的です。

業者によっては、初乗り料金や、深夜・早朝の割増料金、迎車・待機料金が別途発生する場合もあります。

 

タクシーと比較すると割高に感じることもありますが、車も一緒に移動してもらえる点を考えると、妥当な料金設定でしょう。

 

金額に不安がある場合は、事前に料金体系の仕組みやおおよその料金目安を確認しておくことが推奨されます。

アプリから申し込む場合は、概算見積もり機能で金額を事前に把握できる場合もあります。

 

4. 自動車運転代行業の安全性を支える仕組みと法律

 

自動車運転代行業に法律で定められている項目は、業務内容や認定要件、保険の加入などです。

いずれも利用者とドライバー双方の安全を守るために設けられています。

 

なかには事業者だけではなく、利用者側も知っておくべき重要な決まりもあるため、しっかり理解しておきましょう。

 

4-1.公安委員会の認定制度

 

自動車運転代行業を営むためには、公安委員会の認定を受けることが必須です。

事務所の所在地、使用する車両、管理体制など、法律で定められた基準を全て満たす必要があります。

 

この認定制度は、無許可営業や、トラブルの発生を防ぎ、利用者の安全を確保するために重要な仕組みです。

認定を取得していることを証明するために、自動車運転代行業者は認定番号を見やすい場所に表示する義務が課せられています。

 

4-2.二種免許が必要な理由

 

依頼者の車を運転するドライバーに普通第二種免許が必要とされる理由は、利用者を同乗させて運転するために、法律で二種免許が求められているためです。

タクシーと同様に、乗員の安全に直結する運転が必要なため、より高い運転技術と責任が前提になります。

 

一方、随伴車は業務車両として追走や帰還に使うもので、利用者を乗せて走ることはできません。

そのため、随伴車の運転自体は普通第一種免許で対応できる扱いです。

利用者が同乗を求めても応じないようにしましょう。

 

4-3.自動車保険・運転代行保険の仕組み

 

自動車運転代行業者は、法律で運転代行専用の保険への加入も義務付けられています。

これは、通常の任意自動車保険では、補償の対象が「被保険者本人や家族」に限定される場合が多く、代行業者が運転した際は、補償対象外となる場合があるためです。

 

万が一、業務中に事故が発生した場合は、自動車運転代行業者が加入している専用の保険で、利用者の車と事故の相手方の双方を補償します。

そのため、保険に未加入のまま開業することは違法行為にあたります。

 

5. 信頼できる自動車運転代行業者の選び方

 

運転代行を依頼する際、どの業者を選べばよいのか迷う人も多いでしょう。

大事な自分の車を運転してもらうからこそ、信頼できる業者に任せたいと考えるのは自然なことです。

自動車運転代行を利用する場合は、次の点を必ず確認するようにしましょう。

  • 公安委員会の認定番号が表示されているか
  • 運転代行専用の保険に加入しているか
  • 料金表が事前に提示されているか
  • 営業実績や利用者の評判はどうか

特に、認定番号の表示や保険の加入の項目を満たしていない場合、営業要件を満たしていない可能性があります。

自動車運転代行業としての認定を取り消されている可能性もあるため、利用前に必ず確認しましょう。

 

6. まとめ

自動車運転代行業は業務の内容や必要な免許、開業条件、保険の加入等、多くの事項が法律で定められています。

いずれも業務を安全に遂行し、安心してサービスを利用してもらうために欠かせません。

 

代行業者が法令を遵守することはもちろん、利用する側もルールを正しく理解したうえで利用すると、より安全で快適に自動車運転代行を利用できます。