ハイヤー運転手とはどんな仕事?タクシーとの違いも解説!
2025年06月30日
「ハイヤーとタクシーの運転手はどちらもハンドルを握る仕事だけど、どんな違いがあるのだろう?」
といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
ハイヤーとタクシーは、どちらも乗客を乗せて目的地まで送迎する仕事ですが、仕事内容や求められるスキルに違いがあります。
一般的には、ハイヤーのほうがタクシーよりもサービスのレベルが高く、収入が安定しているのが特徴です。
この記事では、「運転のスキルを仕事で活かしたい」「ハイヤー運転手の転職に興味がある」という人のために、ハイヤー運転手の仕事内容やその魅力、タクシーとの違いを解説します。
目次
1. ハイヤー運転手とは
ハイヤー運転手は、企業の社長や役員、VIPなど、社会的ステータスの高い層の送迎を行う職業です。
タクシー運転手よりも高品質なサービスが求められます。
そのため、タクシードライバーなどで経験を積んだ運転手が求められるのが一般的ですが、未経験者を採用・育成する企業も見られました。
タクシー・ハイヤー業界は、ここ数年で需要が高まっている業種の1つです。
2020年からのコロナ禍では一時的に需要が減少しましたが、2022年以降はインバウンドの増加などにより利用客が安定して増えています。
最近では、事前予約制のタクシーも増えており、一部のサービスではハイヤーとの類似点も見られます。しかし、ハイヤー運転手とタクシー運転手では、営業スタイルや料金体系には明確な違いがある点に注意が必要です。
2. ハイヤー運転手の主な仕事内容
ハイヤー運転手の仕事は、予約客の送迎だけではありません。
主な仕事内容は以下の通りです。
・荷物の出し入れの補助
・乗降時の補助
・車内でのコミュニケーション
タクシー運転手にはないきめ細かなサービスも、ハイヤー運転手としての仕事に含まれます。
また、最近ではインバウンドによる外国人客の利用が増えているため、日常会話レベルの語学スキルが求められる場面もあります。
このように、ハイヤー運転手の仕事内容は多岐にわたるため、幅広いスキルを持った運転手は現場でも重宝されるでしょう。
3. ハイヤー運転手とタクシー運転手の違い
ハイヤー運転手とタクシー運転手は、利用目的や客層、営業スタイルが違うため、求められる人材も異なります。
それぞれどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
3-1. 利用目的
ハイヤーとタクシーには、利用目的に大きな違いがあります。
ハイヤーの場合、タクシーのような「流し営業」がなく、利用には原則として事前予約が必要です。
タクシーとは異なり、官公庁や企業の招待制イベントなど、一般には公開されていない場所への出入りが許可される点もハイヤーの大きな特徴です。
完全予約制のハイヤーも多く、一般的には月額制・年額制による契約が導入されています。
3-2. 客層
ハイヤーとタクシーでは、主な客層も異なります。
タクシーの場合、子どもからお年寄りまで幅広い層が利用します。
そのため、マナーの悪い利用者を乗せるリスクは避けられません。
時間帯によっては、酔っている利用者を乗車させることもあるでしょう。
一方、ハイヤーは、社会的ステータスの高い層の利用者が多い傾向にあります。
そのため、マナーの悪い乗客を乗せるリスクはほとんどないでしょう。
3-3. 営業スタイル
ハイヤーとタクシーでは営業スタイルが異なります。
タクシーの場合、空車時には「空車」と表示して乗客を探す「流し営業」を行います。
対してハイヤーは事前予約制が原則で、予約は基本的に事業所側が割り振るため、運転手が個人で営業を行う必要はありません。
タクシーは、流し営業によって切れ目なく乗客を拾えれば収入アップにつながりますが、乗客が見つからなければ待機時間が長くなってしまう可能性があります。
一方、ハイヤーは個人営業の必要がなく予約が安定している点がメリットです。
3-4. 給与
タクシー運転手の場合、給与に占める歩合給の割合が高いのが主流です。
対してハイヤー運転手は「固定給+歩合給」、または固定給のみが一般的とされています。
ハイヤー運転手は原則として「流し営業」を行わないため、タクシー運転手のように長く働くほど多く稼げる世界ではありません。
ただ、ハイヤー運転手でも地道に実績を積み、信頼を築くことで歩合給が増え、長期的なベースアップを実現できます。
なお、ハイヤー運転手の平均年収は約500万円とされています。
3-5. 使用車両
ハイヤーの場合、タクシー以上に格式の高いサービスを重視するため、一般のタクシーよりも高級感のある車両が選ばれるのが特徴です。
最近では、トヨタのクラウン、レクサスのLS、ベンツのSクラスが主流となっています。
高級車両を乗りこなすことで、プロとしての自覚がよりいっそう高まり「このランクの車に見合った仕事をしよう」というプライドにもつながります。
4. ハイヤー運転手として働くメリット
ハイヤー運転手として働くメリットには、以下の5つが挙げられます。
・収入が安定する
・貴重な体験ができる機会が多い
・接客や運転スキルの向上につながる
・高級車両を運転できる
・利用者との信頼関係を築きやすい
具体的な内容について、詳しく見ていきましょう。
4-1. 収入が安定する
ハイヤー運転手は、安定した収入を求める人におすすめです。
ハイヤー業界はタクシー運転手よりも正社員の求人が多く、基本的なスキルがあれば安定した収入が得られます。
また、タクシー運転手のように厳しいノルマが課せられることもほとんどないため、業務のなかでプレッシャーを感じることも少ないでしょう。
さらに、普通自動車第二種免許があればエントリーできるため、ハードルが低いのも大きな魅力です。
ハイヤー運転手は「年齢を重ねても長く続けられる仕事」でもあります。
一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会が公表している統計によると、50歳以上のハイヤー運転手の割合は、男女別で以下の通りです。
・男性:約85%
・女性:約68%
この数字だけを見てもシニア世代が活躍しやすい業界といえるでしょう。
4-2. 貴重な体験ができる機会が多い
ハイヤー運転手として働くことで、他の職業では経験できないような非日常的な体験ができます。
ハイヤーの送迎先は、官公庁や企業の招待イベントなど、普通では入れない場所を指定されることも少なくありません。
また、有名企業のVIPや芸能関係者など、一般的な仕事ではめったに関われないような人たちと接点を持てるのも大きな魅力です。
そのため「仕事で刺激を感じたい」人にはハイヤー運転手が向いています。
4-3. 接客や運転スキルの向上につながる
ワンランク上のスキルを身につけたい、接客にはもともと自信がある、という人にはハイヤー運転手がおすすめです。
ハイクラス層がメインの客層となるハイヤーでは、タクシー以上に丁寧できめ細かいサービスが求められます。
もちろん、ハイレベルな運転技術だけでなく、「目的地に着くまでに癒しとゆとりを感じてもらうスキル」も必要です。
ハイヤー運転手として身につけた高い水準の接客スキルは、他の職種や日常生活でも役に立つでしょう。
4-4. 高級車両を運転できる
普段は運転できない高級車両を乗りこなしたい人には、ハイヤー運転手がおすすめです。
ハイヤーでは高級感を演出するため、比較的高価な車両が使われます。
特に、外国の高級車両は乗り心地が良く、ハンドルを握るだけで「ハイクラスな車を運転している」という高揚感が得られるでしょう。
もちろん、仕事である以上はプロとしてのスキルや責任感が求められますが、高級車ならではの高揚感は長く働くモチベーションにつながります。
4-5. 利用者との信頼関係を築きやすい
利用者とマンツーマンでじっくり信頼関係を築きたい人には、ハイヤー運転手がおすすめです。
ハイヤーは基本的に完全予約制のため、同じ利用者を長い期間担当することも少なくありません。
また、車内は個室のため自然とコミュニケーションが深まりやすく、お互いの人となりがわかれば、さらにきめ細かいサービスにつながります。
丁寧な接客によって指名が増えれば、さらなるモチベーションにもつながるでしょう。
5. ハイヤー運転手が「きつい」と言われる理由
やりがいが大きい一方で、ハイヤー運転手の仕事には「きつい」という声があるのも事実です。
ここでは、ハイヤー運転手がきついと言われてしまう理由を掘り下げます。
5-1. 大きな責任が伴う
ハイヤー運転手はワンランク上のサービスが求められるため、タクシー運転手以上に大きな責任が伴います。
時間厳守は絶対で、事前予約による送迎時間に1秒でも遅れることは許されません。
そのほか、言葉遣いや接客時の立居振る舞い、ビジネスマナーなど、細かい部分まで「ハイクラス向け」にふさわしいサービスが求められます。
基準に満たないサービスを繰り返せば、事業所全体の信頼低下にもつながり、査定にも影響するでしょう。
ハイヤー運転手は決して「利用者を目的地まで送り届ける」だけの仕事ではありません。
エントリーする以上は、プロとしてワンランク上のサービス・責任感が求められると理解しておきましょう。
5-2. 待ち時間が長くなる
ハイヤー運転手は、業務の特性上、待ち時間が多くなってしまう場面も避けられません。
待機時間も給与は発生しますが、いつ要請が入るか分からないため完全にリラックスすることは難しく、人によっては精神的な負担を感じる場合があります。
急な変更に備え、いつ何があってもスピーディに対応できる体制を整えておく必要があります。
また、ハイヤーでは1日単位の貸切も多く、「送迎時間よりも待ち時間のほうが長い」パターンもあるでしょう。
待ち時間であってもリラックスできないため、慣れない人にとってはきついと感じられるのかもしれません。
5-3. 守秘義務が伴う
ハイヤーは官公庁関係者や芸能関係者、VIPなどを乗せる機会が多いため、一般的な職種以上に守秘義務が課せられます。
仕事の内容を家族や友人に話せないため、仕事上の悩みからストレスが溜まってしまうかもしれません。
また、守秘義務を破ってしまった場合には、損害賠償の支払いを求められる可能性もあるため、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
ハイヤー運転手として安定して働くには、高い倫理意識に加えて、悩みやプレッシャーを冷静に受け止め、うまく乗り越える心のバランス力が求められます。
6. ハイヤー運転手に向いている人の特徴
ハイヤー運転手に向いている人の特徴として、以下の3つをご紹介します。
・収入を安定させたい人
・ビジネスマナーに自信がある人
・コミュニケーションに苦を感じない人
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
6-1. 収入を安定させたい人
ハイヤー運転手は固定給による契約が多いため、収入を長期的に安定させたい人には向いているといえます。
タクシー運転手とは異なり、固定給で働くことが多いため、収入の変動が少なく安定しやすい傾向にあります。
さらに、スキルアップやサービス向上によって、評価が上がり、給与面に反映されることも期待できるでしょう。
能力の高いハイヤー運転手として高く評価されるスキルとしては、以下のようなものが挙げられます。
・語学スキル
・介護スキル
外国人の利用が多い地域なら語学スキルを、介護が必要な人を乗せる機会があるなら介護スキルを身につけるとよいでしょう。
6-2. ビジネスマナーに自信がある人
ハイヤー運転手は、一般的な運転技術以外にハイレベルな接客スキルが求められるため、より高度なビジネスマナーが必要です。
時間を守る、言葉遣いが丁寧などの基本的なスキルはもちろんですが、イレギュラーにも柔軟に対応できればより信頼を得られます。
なお、ビジネスマナーを証明するのであれば、以下の資格を取得するのもよいでしょう。
・秘書検定
・ビジネスマナー検定
・社会人常識マナー検定
・ビジネス能力検定
時代によって求められるビジネスマナーが変わってくるため、継続的なスキルのアップデートが大切です。
6-3. コミュニケーションに苦を感じない人
利用者への丁寧な声かけや臨機応変な会話も、ハイヤー運転手の大切な仕事です。
適切なコミュニケーションによって利用者の心をほぐし、ニーズを満たすことで信頼が高まり、継続的な予約につながります。
ハイヤー運転手に求められるコミュニケーションは、利用者によってさまざまです。
利用者の職業や年齢層によっては、ビジネス上の意見を求められることもあるでしょう。
あるいは軽い雑談であっても、ハイクラス層にふさわしい品格と知性が求められます。
そのため、政治経済や芸能、社会情勢など、常日頃から幅広い分野の情報収集が必要です。
7. まとめ
ハイヤー運転手は、事前予約制で利用者を目的地まで送り届ける仕事です。
主に、企業の役員や芸能関係者、官公庁関係者など、社会的ステータスの高い層が利用し、タクシー運転手よりもワンランク上のサービスが求められます。
また、業務の性質上、守秘義務が課せられるため、タクシー運転手以上にプレッシャーが強いのが特徴です。
求められるスキルが多い反面、固定給による契約が主流のため、長期的に収入が安定しやすい傾向にあります。
さらに、語学や介護のスキルを身につけることで、収入アップが期待できます。
利用者とより密接なやり取りが求められるため、「個々のニーズに応じたサービスを提供したい」と考える人に適した仕事だといえるでしょう。
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