ドライバーの採用が難しい「3つの理由」とは?対処法とあわせて詳しく解説
2025年07月22日
「ドライバーを採用したいけどなかなかよい人材が見つからない」のように、ドライバーの採用を検討している方の中には、このような悩みが生まれるかもしれません。
ワークライフバランスの考え方が広がったこともあり、長時間労働の印象が強い運送業界では、若手の人材が見つかりにくい現状があります。
本記事では、ドライバーの採用が難しいとされている理由や採用数を上げるためのポイントについて詳しくまとめました。
目次
1. ドライバーの採用が難しいとされている3つの理由
ドライバー採用が難しい理由はさまざまですが、根本的な問題は3つ挙げられます。
1-1. 労働環境が厳しい
ドライバー採用において、労働環境の厳しさは大きな障壁です。
運送業界では長時間労働が常態化しています。
厚生労働省の調査によると年間労働時間が全職業平均を400時間程度上回る一方で、年収は20万~70万円程度低いという実態があります。
さらに、体力的負担や不規則な勤務時間により女性の応募が集まりにくい点も、人材不足に拍車をかけている理由の1つといえるでしょう。
1-2. ドライバーの高齢化が進んでいる
ドライバー業界では深刻な高齢化が進行しており、世代交代が停滞している状態です。
厚生労働省の調査によると、運送業界で働く40代から50代の割合は4割を超えており、全業種平均の3割を大幅に上回る状況となっています。
こうした構造的な問題により、技術継承や業務効率化が難しくなることで、企業の持続的成長に深刻な影響を与えているといえるでしょう。
1-3. ワークライフバランスが徐々に浸透している
従来の「高収入重視」の考え方から、現代では「残業よりも定時退社」「年収よりも年間休日数」を優先する傾向にあります。
一方で、運送業界は依然として長時間勤務や不規則な労働時間が避けられない状況です。
こうした価値観のミスマッチが採用活動の大きな障害となっています。
企業側がワークライフバランスに対応した魅力的な労働条件を提示できなければ、優秀な人材の確保は難しい状況が続くでしょう。
2. ドライバー採用の有効求人倍率はどのくらい?
ドライバー採用市場は深刻な人材不足の状態であり、企業間の獲得競争が激化しています。
厚生労働省が発表した令和6年度の統計によると、自動車運転従事者の有効求人倍率が2.82倍に達しており、全職業平均の1.22倍を大幅に上回っています。
この数値は、求職者1人に対して約3件の求人が存在することを意味しており、完全な売り手市場が形成されている状況です。
このような状況下では、求職者が複数の選択肢から条件のよい企業を選別できるため、従来の採用手法では優秀な人材の確保が難しくなっています。
3. ドライバーの採用数を上げるためのポイント5選
ドライバーの採用数を上げるためのポイントとして5つの内容を見ていきましょう。
3-1. 給与や福利厚生を見直す
魅力的な報酬体系の構築は、ドライバーの採用を成功させるための重要な要素です。
求職者が重視する給与面では、基本給の底上げに加えて透明性の高い評価制度の導入が効果的といえます。
評価制度の例は以下の通りです。
・無事故継続年数に応じた特別手当
・燃費向上や顧客満足度に連動したボーナス
・技能向上による資格手当 など
また、福利厚生面では、社会保険完備・退職金制度・住宅補助などの生活基盤を支える制度の充実も求められます。
このように給与や福利厚生を見直すことで、他社と明確に差別化されるため、優秀な人材の獲得と定着につながるでしょう。
3-2. 未経験者や女性でも安心して働けることを伝える
採用対象の多様化と総合的なサポート体制の整備は、人材確保の突破口となるでしょう。
未経験者に対しては、入社後の研修スケジュールや社員によるマンツーマン指導期間、運転技術から接客マナーまでの教育カリキュラムを提示することで、求職者に安心感を与えられます。
また、女性ドライバーの採用では、柔軟な勤務時間制度・託児所との提携・産前産後休暇制度など、ライフステージの変化に対応できる制度をつくることも大切です。
多様性を受け入れる職場環境は、結果的に全社員の働きやすさ向上にもつながるでしょう。
3-3. 採用後のフォローを強化する
新入社員の早期離職を防ぐには、入社後の継続的なフォローアップが不可欠です。
たとえば、定期的なタイミングで上司との個別面談を実施して、業務習熟度の確認や職場への適応状況を確認するとよいでしょう。
単なる業務指導だけでなく、人間関係の悩みや将来への不安など、メンタル面のケアも重要な要素です。
また、スキルアップ研修や外部セミナーなどを定期的に実施することで、従業員の成長実感と会社への帰属意識が高まり、離職率の低下にもつながるでしょう。
3-4. 安全面への配慮を伝える
求職者本人が前向きでも、家族の懸念により入社を断念するケースもあるため、具体的な安全対策を求職者に伝えることが不可欠です。
具体的な安全対策として、以下があげられます。
・車線逸脱警報装置の装備
・GPS連動の運行管理システムによる24時間監視
・定期的な安全運転講習会の実施 など
また、万が一の事故発生時における迅速な対応フローや充実した保険体制、従業員への手厚いサポート制度についても明確に示しましょう。
これにより、求職者や求職者の家族から信頼を得る効果が期待できます。
3-5. 求人サイトに写真や動画、先輩の声を記載する
求人サイトに職場の写真や動画、先輩の声を掲載することは、求職者の応募意欲向上に効果的です。
清潔で整備された車両の内外装や最新の安全装備、快適な休憩施設、和やかなチームワークの様子など、働く環境の魅力を視覚的にアピールしましょう。
また、未経験から始めた社員の成長ストーリーや女性ドライバーの働き方事例など、さまざまな先輩からの声を掲載することもよいかもしれません。
4. ドライバーを採用する際の注意点
ドライバー採用では安全性とサービス品質の確保のため、確認すべき事項がいくつかあります。
4-1. 健康状態を確認する
採用時には求職者の健康状態を必ずチェックしましょう。
視力・聴力などの基本的な身体機能に加え、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の有無を詳細に確認します。
特に注意すべきは睡眠時無呼吸症候群で、居眠り運転による重大事故のリスクが高いです。
そのため、国土交通省ガイドラインに準拠したスクリーニング検査の実施が推奨されます。
また、過去のアルコール依存歴や現在の飲酒習慣など、飲酒に関する問題も面談時に確認しましょう。
4-2. 事故や違反歴を確認する
将来のリスク回避と企業信頼性確保のため、これまでの運転実績を徹底的に調査する必要があります。
運転記録証明書を必ず取得し、過去の交通違反履歴と事故歴を詳細に検証してください。
万が一同じような違反を繰り返している場合、安全意識の低さを示しているため、採用には慎重になる必要があります。
4-3. 今までの退職理由を確認する
今までの退職理由を確認することで、仕事に適性があるか見極めることが重要です。
人間関係のトラブルや労働条件への不満を理由とする場合、協調性や適応力に課題がある可能性があります。
特に短期間での転職を繰り返している求職者は、忍耐力や責任感の面で懸念があるといえるでしょう。
一方で、キャリアアップや新たなチャレンジといった前向きな理由は評価できます。
表面的ではなく、どのような背景があるのかを確認するとよいでしょう。
5. まとめ
ここまで、ドライバー採用が難しいとされる理由や、ドライバーの採用数を上げるポイントについて解説しました。
有効求人倍率2.82倍という数値が示すように、完全な売り手市場となっているドライバー業界では、従来の採用手法では人材確保が難しくなっています。
しかし、給与・福利厚生の見直しや未経験者・女性への配慮、採用後のフォロー強化などのポイントを実践することで、採用成功の可能性を高められます。
適切な人材確保により、安定したサービス提供と事業の成長につなげましょう。
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