ドライバーの採用単価相場は?コストを抑えるために見直したい6つのポイント
2025年09月24日
「ドライバーの採用単価の相場はいくら?」
ドライバーの採用が難しくなるなか「採用コストばかりかかってしまう」とお悩みの採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
ドライバーの採用単価は約35万円~、なかには150万円ほどかかるケースも見られます。
採用単価は高騰しており、今後も上昇が予想できるため、早めの適正化が重要です。
本記事ではドライバー募集にかかるコストや、採用単価が高くなる理由、採用単価を抑える方法を詳しく解説します。
採用単価を適正化するためのヒントが見つかります。
ぜひ採用コスト削減のために参考にしてください。
目次
1. 採用単価とは?
採用単価とは、1人の人材を採用するためにかかったコストのことです。
採用単価=採用にかかった総費用÷採用人数で算出します。
【費用に含まれるもの】
- 求人媒体への掲載費
- 人材紹介会社への成果報酬
- 採用イベントへの参加費用
- 採用担当者や面接官の人件費 など
採用単価は、自社の採用活動に無駄がないかを判断する材料になります。
たとえば、総費用200万円で10名採用できた場合、採用単価は20万円です。
同じ費用で5名しか採用できなければ、採用単価は40万円となり採用効率が低下していることが明らかです。
2. ドライバー採用単価の相場
ドライバーの採用単価は約35万円~です。
人材紹介サービスを利用すると50万円~100万円以上になる場合もあります。
ドライバーの採用単価は、社会全体で見ても比較的高水準です。
これには、物流・運輸業界での人手不足や求人媒体の掲載費用をはじめとする採用コストの増加などが背景にあります。
ドライバーの採用単価は今後も上昇が見込まれるため、早めに採用戦略を見直すことが重要です。
3. ドライバーを募集する方法の特徴と採用コストの違い
ドライバーの募集方法ごとの平均的な採用単価は、以下を参考にしてください。
求人サービス | 28.5万円 |
新聞・折り込みチラシなど | 7万~11.3万円 |
人材紹介サービス | 85.1万円 |
ハローワーク | 無料 |
紹介制度 | 4.4万円 |
自社サイトやSNSでの発信 | 0.9万円~2.8万円 |
募集方法によって、特徴や費用が大きく異なるため自社にあった方法を選ぶことが重要です。
ここからは、各募集方法の特徴や採用コストについて詳しく解説します。
3-1. 求人サイト
求人サイトは幅広い層にアプローチできる手法です。
掲載コストは媒体や料金体系によって異なります。
一般的な求人サイトの費用相場は次の通りです。
- 新卒:約80万円~300万円/シーズン
- 中途:約20万円~100万円/月
また、ドライバー特化型の求人サイトを利用すれば、掲載費用は約1万~10万円/月です。
ただし、競合が多いため求人情報の差別化が欠かせません。
求人サイトは広範囲の中から応募者を集められる一方で、採用単価は媒体や料金体系によって大きく変動します。
3-2. 人材紹介サービス
人材紹介は成果報酬型であり、採用に至らなければ費用は発生しません。
そのため、無駄なコストをかけずに、自社の条件に合った人材に出会える点が強みです。
紹介手数料は採用者の年収30%~40%に設定されるケースが一般的で、1人あたり約90万円~150万円が相場です。
実際に、運輸・交通・物流・倉庫では、年間平均243.3万円を人材紹介に投じているというデータもあります。
ほかの募集方法と比べ、即戦力となる人材を確保できる可能性が高いため、結果的に費用対効果が高い傾向があります。
3-3. ハローワーク
ハローワークは、コストをほとんどかけずにドライバーを募集できる手法です。
求人の掲載は無料で、公共機関が運営しているため信頼性と安心感が高く、求職者からの認知度も大きい点が強みです。
中高年層や、住んでいる地域で働きたいという人材からの応募を集めやすい傾向があります。
ただし、若手ドライバーや経験豊富な人材は集まりにくいため、採用までに時間がかかるケースもあるでしょう。
即戦力となる人材を確保したい場合は、ほかの募集方法との併用がおすすめです。
3-4. そのほかの手法
求人サイトや人材紹介のほかにも、紹介制度や自社サイト・SNSを活用して採用活動を行っている企業もあります。
これらの方法は比較的費用が抑えられるうえ、表現の自由度が高く自社の強みを伝えやすい点が特徴です。
紹介制度とは、社員や取引先など、自社と関わりがある人から人材を紹介してもらう手法です。
平均コストは4.4万円と低く、入社後の定着につながりやすい傾向があります。
自社サイトやSNSの運用・発信は0.9万円~2.8万円と低コストでできる募集方法です。
特にネットやSNSを多用する若年層へのアプローチに有効です。
4. ドライバーの採用単価が高くなる5つの理由
相場を比較して、自社の採用単価が高いと感じられた方もいるでしょう。
ここからは「なぜ採用単価が高くなってしまうのか」よくある理由を5つ解説します。
4-1. 高齢化・若手減少による人材不足
「ドライバーの求人市場にも少子高齢化の影響があり、若年層の就職希望者は減少しています。
そのため、若手人材の獲得競争が激化しています。
ドライバーの平均年齢は全産業平均の43.4歳を大きく上回り、高齢化が顕著です。
【ドライバーの平均年齢】
- タクシー:9歳
- バス:0歳
- 大型トラック:9歳
- 中小型トラック:4歳
このようにドライバー全体の高齢化が進んでおり、若手獲得のために採用コストをかけざるを得ない状況になっています。
4-2. ドライバー需要の増加
ドライバーの需要増加により、人材の獲得競争がおこり採用単価の上昇につながっています。
EC市場や個人宅配の拡大など、物流体系が大きく変化し、これまで以上に多くのドライバーが必要になってきました。
2025年6月時点の自動車運転従事者の有効求人倍率は2.48倍に達しており、採用競争が激しいことを示しています。
ドライバー需要の高まりが、採用競争を引き起こし採用単価の押し上げにもつながっています。
4-3. 法改正と規制強化の影響
2024年4月からドライバーの時間外労働時間が規制されたことも、ドライバー全体の採用単価上昇の原因です。
これまで通りの輸送能力を維持するためには、どの企業でも人員の増加が不可欠になりました。
【法改正の概要】
○ドライバー全体で共通の時間外労働上限規制
- 原則:月45時間、年360時間
- 臨時的特別な事情がある場合:年960時間
○おもな変更点
職種 | 内容 | 変更前 | 変更後 |
トラック運転手 | 月間拘束時間 | 320時間 | 284時間 |
タクシー運転手(日勤) | 299時間 | 288時間 | |
バス運転手 | 1日の延長時間 | 16時間、週2回 | 15時間、週3回 |
働き方改革は必要な取り組みである一方で、人材需要の急増により採用単価を押し上げています。
4-4. 求人媒体の広告料上昇
求人媒体の広告料上昇も、ドライバー採用コストが上昇する要因のひとつです。
採用市場の競争が激化しているため、求人媒体への掲載料も高騰しています。
マイナビの調査によると、「運輸・交通・物流・倉庫」業界の中途採用における、求人広告費用の年間平均実績は次のとおりです。
- 2019年:134.9万円
- 2024年:164.9万円
コロナ禍による一時的な影響を除いて、この5年間で広告料は着実に上昇していることがわかります。
4-5. 定着率の低下
採用後の定着率も採用単価に影響します。
定着率が低いと、何度も採用活動をくり返す必要があり、結果的に採用コストが増えてしまうためです。
たとえば、ドライバー職では、勤務条件や労働時間の認識の違いが原因で退職するケースが多く見られます。
定着率を高めて、採用活動を減らせば、採用単価の上昇を抑えられるでしょう。
5. ドライバーの採用単価を抑える6つのポイント
ドライバーの採用単価がなぜ高いのか、理由が明らかになりました。
ここからは、採用単価を抑えるための6つの見直しポイントを見ていきましょう。
5-1. 募集手法を見直す
ドライバーの採用単価を抑えるためには、募集方法を見直すのが効果的です。
競合他社に埋もれず、自社の求人を採用したい人材(ターゲット)に届けられれば、無駄なコストをかけずに応募者を獲得できます。
そこで、ターゲット層に応じた募集手法として、次のような使い分けが効果的です。
若年層ドライバーの採用 |
|
中高年層ドライバーの採用 |
|
採用したい人材層の特性を理解し、最適な募集方法を組み合わせれば、コスト削減と採用活動の成功につながるでしょう。
5-2. 採用ターゲットを拡大する
採用者のターゲットを拡大するのも、ドライバーの採用単価を抑えるうえで有効です。
ドライバー市場では、多くの企業が同じような人材層をターゲットにしているため、限られた候補者を取り合う構造になっています。
しかし、従来のターゲット層以外にも多くの優秀な人材が存在しているケースがあります。
【ターゲットの拡大例】
- 20代男性ドライバーは競合他社と取り合いになる可能性が高い
⇒あえて中高年層を採用対象に加える - 宅配業務などでは女性ドライバーの顧客ニーズも上昇傾向がある
⇒女性ドライバーを採用対象に加える - 経験・スキルの条件幅を広げる
⇒未経験者も対応できるよう研修制度を充実させる
これらのアプローチで候補者の範囲を一人でも多くできれば、採用の選択肢が大幅に増加するでしょう。
5-3. ミスマッチを防ぐ
ミスマッチを防ぐことで、定着率が向上し、ドライバーの採用単価を抑えることにつながります。
採用後の早期離職は、採用や研修にかかるコストが無駄になり、再採用も含めると採用単価が大幅に上昇します。
ミスマッチが起こる原因 | 対策 |
自社の情報を伝え切れていない | メリット・デメリットなど多角的に伝える
実際の勤務スケジュールを具体的に明示する |
企業が求める人物像と一致していない | 採用したい人物像を明確にして募集文に記載する
面接では価値観が一致するかを確認する |
採用したい人物像を明確にし、透明性のある情報の開示が、ミスマッチ防止につながるでしょう。
5-4.魅力的な求人情報に整える
応募を増やすためには求人情報の見直しも必要です。
情報が的確にまとめられた魅力的な求人なら、応募者数の増加と応募者の質向上を目指せます。
魅力的な求人情報にするためのポイントは次のとおりです。
項目 | 内容 |
職種 | 「大型トラックドライバー」「宅配ドライバー」など具体的に記載 |
業務内容 | 1日の流れや担当エリアなどを明示 |
募集背景 | 増員、欠員補助など理由を明示し職場の状況をイメージしやすくする |
応募資格 | 必要な免許、経験年数、勤務時間などを具体的に記載 |
求める人物像 | 荷物の積み卸し作業があるので体力に自信がある方、報告・連絡・相談が出来る方など |
給与・待遇 | 給与、手当、休日、福利厚生、研修制度など |
これらの要素を丁寧に記載すれば、求職者の不安を解消でき、自社に最適な質の高い応募者を効率よく集められるでしょう。
5-5. 社員紹介制度・リファラル採用を活用する
ドライバー採用で現在注目を集めているのが「社員紹介制度(リファラル採用)」です。
既存の社員が推薦する人材は、事前に会社の雰囲気や業務内容を把握しているため、採用後のミスマッチが起こりにくく、定着率の向上が期待できます。
【社員紹介制度のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
採用コストを抑えられる
ミスマッチを減らせる 採用までのスピードが早い |
応募者の層がかたよる
多様性が得られにくい |
社員紹介制度とほかの募集方法を組み合わせれば、採用コストを抑えつつ多様な人材を採用できるでしょう。
5-6. 入社後の環境を整える
ドライバーの採用単価を抑えるには、職場環境の整備も重要です。
職場環境が悪いと離職率が高まり、採用活動をくり返さなければならず、採用コスト増加につながります。
また、職場環境の悪さが口コミなどで広がると企業の評判が下がり、応募者獲得がさらに困難になるという悪循環に陥りかねません。
ドライバーのおもな離職理由 | 改善策 |
悩みや不満などを相談しづらい | 定期的な面談や相談窓口の設置 |
拘束時間が長い | 勤務スケジュールの見直し、休憩・仮眠環境の改善 |
ワークライフバランスが取れない | 有休取得の推奨、業務効率化により残業削減 |
職場環境の改善で、既存社員の満足度も向上し、新規応募者へのアピールにつながるでしょう。
6. ドライバーの採用単価を抑える効果
採用単価を抑えれば、企業全体の経営効率が向上し、経営体制の安定が図れます。
採用コストの削減で生まれた余剰予算をほかの分野に再配分できれば、組織全体のパフォーマンスが向上する可能性も高いです。
- 採用単価を削減し余剰予算を創出
- 職場環境の改善や教育制度整備へ投資
- 早期離職の減少、定着率向上
- 再採用の必要がなくなり、採用コスト削減
このような好循環を生み出せれば、採用費用の削減と人材の質向上を同時に達成できるでしょう。
7. まとめ
2025年時点で、ドライバーの採用単価は平均35万円ほどで、求人方法によっては100万円を超えるケースも見られます。
採用単価が上昇している理由は、おもに人材不足や求人広告料の上昇、定着率の低下などです。
採用単価を抑えることが、企業全体の底上げにつながります。
自社のドライバー採用単価が適正かどうか、なぜ高いのかを見極め、本記事で紹介した見直しポイントをもとに採用計画を見直してみてください。
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