お抱え運転手を雇う意味は?メリットからかかる費用までを解説
2020年05月15日

お抱え運転手とは、特定の役員や経営者の移動を専属で支える運転手のことです。
忙しい企業の役員や経営者にとって、移動時間も有効に活用したいと考える方は多いでしょう。
お抱え運転手を配置すれば、移動中も安心して仕事に集中でき、スケジュール管理の効率も大きく向上します。
しかし、いざ導入を検討すると「自社で雇用すべきか、外部に委託すべきか」「費用はどれくらいかかるのか」など、判断に迷うポイントが多いのも事実です。
本記事では、お抱え運転手の基本的な役割から具体的な仕事内容、雇用形態ごとのメリットと注意点、さらには費用相場まで詳しく解説します。
自社に最適な選択肢を見つけるための参考にしてください。
目次
1. お抱え運転手の意味とは?
お抱え運転手とは、特定の人物や車両を専属で担当する運転手のことで「役員運転手」や「専属ドライバー」とも呼ばれます。
役員や経営者など、担当する人物のスケジュールに合わせて目的地まで安全に送り届けることが主な役割です。
お抱え運転手は「ショーファー(chauffeur)」と呼ばれることもあります。
ショーファーはフランス語由来の言葉で、「ショーファーカー」や「ショーファードリブン」は、お抱え運転手が運転する高級車を指す言葉です。
近年は企業コストの削減などにより直接雇用する企業は減少傾向にありますが、移動時間を有効活用したい経営者の間では、依然として一定の需要があります。
2. お抱え運転手の仕事内容
お抱え運転手の業務は運転だけでなく、顧客が快適に過ごせるよう幅広いサポートを行います。
本章では、お抱え運転手の主な仕事内容についてご紹介します。
2-1. 送迎
お抱え運転手の中心業務は、役員や経営者などの送迎です。
自宅と会社の往復だけでなく、会食や取引先への訪問など、1日の予定に合わせて幅広く対応します。
送迎において何より重要なのは、時間の正確さです。
商談や会議に遅れることは許されないため、常に交通情報を確認しながら、最適なルートを瞬時に判断する必要があります。
天候の急変や渋滞など、想定外の事態が起きた際にも、状況に合わせて柔軟に対応しなければなりません。
移動中を快適に過ごせるよう配慮することも重要な役割の1つです。
急発進や急ブレーキを避けて安定した運転を心掛け、車内で資料の確認や電話会議ができる落ち着いた環境を整えます。
さらに、お抱え運転手には高い守秘義務も求められます。
車内での会話や日々の行動予定などは機密情報であり、外部に漏らしてはいけません。
信頼できるパートナーとして、プライバシーの保護を徹底する姿勢が欠かせない仕事です。
2-2. 送迎車の管理
送迎に使う車両の管理も、お抱え運転手の重要な役目です。
日常的な洗車や清掃、定期点検、給油、消耗品の交換など、車両を良好な状態に保つための作業を幅広く担当します。
特に、タイヤの空気圧チェックやエンジンオイルの確認など、安全運転に直結する点検は入念なチェックが必要です。
また、車内の清潔さは乗車する人の印象を大きく左右します。
シートや窓ガラスまで丁寧に手入れし、ゴミが落ちていないことはもちろん、匂いにも十分な配慮が欠かせません。
万が一のトラブルを未然に防ぎ、安心して乗車してもらうためにも、プロとして細部まで気を配る姿勢が重要です。
2-3. 待機
待機時間は、お抱え運転手の業務の中でも多くの割合を占めます。
送迎を担当する人物の用事や会議が終わるまで、車内や指定の待機場所で待機するのが一般的です。
待機中は、帰路のルートを改めて確認したり、天候や交通情報をこまめにチェックしたりします。
急な予定変更に備え、常に最適な判断ができるよう準備を整えておくことが大切です。
次の乗車に備えて座席の乱れを整えたり、車内のゴミや汚れを確認するなど、環境を整えることも欠かせません。
いつ呼び出されてもスムーズに出発できるよう、万全の状態を保っておく必要があります。
関連記事:役員運転手(お抱え運転手)につきものの待機時間の使い方
2-4. スケジュール管理
スケジュール管理は、お抱え運転手に求められる重要な業務のひとつです。
送迎を担当する人物の予定を把握し、移動時間を逆算したうえで到着時間を調整したり、目的地までの最適なルートを事前に確認したりします。
訪問先の入り口や駐車場の位置、周辺の交通規制などを把握しておくことで、当日の移動をスムーズに進められるでしょう。
予定を適切にリマインドすることや、急な予定変更に合わせてルートや動線を組み直す対応力も欠かせません。
万が一の遅延リスクを最小限に抑えるため、最新の交通情報をチェックしておきましょう。
3. お抱え運転手の雇い方
お抱え運転手の雇い方には、自社で直接雇用するか、外部の専門業者に委託するかの2種類の方法があります。
それぞれの違いは、下表の通りです。
| 直接雇用 | 外部委託 | |
| 契約先 | 運転手と直接契約する | 業者と契約する |
| 業務指示、管理 | 自社で直接の指示や管理ができる | 業者に一任される |
| 費用 | 給与として発生する | 月額または年額の費用が発生する |
直接雇用は、企業が運転手を正社員や契約社員として雇う方法です。
給与は月給制で、一般的なサラリーマンと同じように支給されます。
企業が直接管理や指導を行えるため、社内の文化や方針を浸透させやすいでしょう。
一方、外部委託は専門の請負会社と契約を結ぶ方法です。
請負会社が運転手の雇用主となり、仕事に関する指揮命令も請負会社が行います。
月額または年額の費用を支払うことで、運転手の労務管理を一括で任せられますが、運転手に対して直接の指示ができません。
どちらの方法を選ぶかは企業の規模や予算、求めるサービスレベルによって変わるため、それぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。
4. お抱え運転手を自社で雇用するメリットと注意点
続いては、お抱え運転手を自社雇用する際のメリットと注意点をご紹介します。
それぞれの特徴を理解し、両者を比較して導入を検討しましょう。
4-1. メリット
まずは、お抱え運転手を自社雇用するメリットを3つご紹介します。
4-1-1. 柔軟なスケジュール対応が可能
自社雇用の最大のメリットは、スケジュール対応の柔軟性です。
急な予定変更にもスムーズに対応でき、深夜や早朝の送迎が必要になった場合でも、社内で調整しやすい点が強みといえます。
外部委託だと契約内容に制約されることもありますが、自社雇用であればそのような制限はほとんどありません。
ビジネスの状況に合わせて業務内容やスケジュールを柔軟に調整できます。
特に、休日の急な依頼が発生しやすい企業に適しているでしょう。
運転手と直接コミュニケーションが取れるため、細かな要望や社内ルールを共有しやすい点もメリットです。
4-1-2. 社内の事情に精通した運転手を配置できる
長期的に同じ運転手を配置することで、企業文化や業務に精通した人材を育てられます。
送迎を担当する人物それぞれの要望や習慣を深く理解でき、より細かな対応が可能です。
長く勤務している運転手であれば、特定の取引先への訪問ルートを熟知していることも多く、こうした知識や配慮が快適な移動環境をつくる要素になります。
社内イベントや会議のスケジュールを共有しやすく、繁忙期や重要な商談の時期を理解したうえで的確なサポートが行える点もメリットです。
4-1-3. 情報管理や機密保持を強化できる
機密情報の管理において、自社雇用は大きな安心材料のひとつです。
固定の運転手を配置できるため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
役員は車内で重要な電話をしたり、機密性の高い会話を交わしたりする機会があり、経営戦略や人事情報に触れる場面も少なくありません。
自社の従業員として雇用している運転手であれば、守秘義務の徹底や情報管理に関する教育を直接行える点が大きなメリットです。
4-2.注意点
次に、自社雇用における注意点を2つご紹介します。
4-2-1. 採用や教育の負担が増加する
運転手を採用し、適切に教育するには相応のコストと時間がかかります。
運転技術だけでなく、接客マナーや機密情報の取り扱い、ビジネスシーンにふさわしい立ち居振る舞いなど、多方面での研修が求められます。
さらに、自社で条件に合う人材を見つけるのも容易ではありません。
運転スキルと接遇スキルの両方を備えた人材は限られており、採用後も継続的な教育が必要です。
また、せっかく育成した人材が離職してしまえば、採用から教育までを再び一からやり直さなければならず、企業側の負担は大きくなるでしょう。
4-2-2. 労務管理の負担が増加する
労働時間の調整や福利厚生への対応など、企業側の労務管理の負担が増加する点にも注意しておきましょう。
残業時間の上限管理や休日出勤の調整など、労働基準法を遵守しながら柔軟に対応するのは容易ではありません。
また、社会保険や退職金制度といった福利厚生の整備は給与とは別に費用が発生するため、トータルの人件費が想像以上に膨らむ要因となります。
5. お抱え運転手を外部委託するメリットと注意点
続いては、お抱え運転手を外部委託する際のメリットと注意すべきポイントのご紹介です。
5-1. メリット
まずは、お抱え運転手を外部に依頼するメリットのご紹介です。
自社雇用とは異なるメリットが得られるため、その違いを把握しておきましょう。
5-1-1. 業務負担の軽減
外部委託の最大のメリットは、お抱え運転手に関わる業務負担を大幅に削減できる点です。
採用、教育、労務管理、事故対応など、手間のかかる業務をすべて委託業者に任せられます。
研修内容には運転技術だけでなく、マナー教育や機密保持に関する指導も含まれており、自社で一から体制を整える必要はありません。
さらに、車両のメンテナンスや定期点検、事故発生時の初動対応も委託業者が一括して担当します。
トラブル発生時の対応フローが事前に構築されているため、迅速な対応が期待でき、企業としても安心して任せられるでしょう。
加えて、業務時間の管理や給与計算といった労務管理業務を委託側が対応してくれる点もメリットです。
煩雑な管理業務から解放されることで、自社は本来の事業にリソースを集中できるようになります。
5-1-2. 人的コストの削減
退職が発生した場合でも、委託業者から新しいドライバーを迅速に派遣してもらえます。
採用コストや教育コストをかけずに、すぐに即戦力を確保できる点は大きなメリットです。
さらに、人件費や福利厚生にかかるコストを大幅に削減できるため、社会保険料や退職金の積立、各種手当などの負担がなく、自社の固定費を抑えやすくなります。
繁忙期だけ増員したり、閑散期には人数を減らしたりといった柔軟な調整も可能です。
ビジネス状況に合わせて最適な人員配置を行える点も、外部委託ならではの利点といえるでしょう。
5-1-3. 優れた人材の確保
専門業者は、優れた運転技術と接遇スキルを兼ね備えた人材を確保しています。
自社で一から育成する場合と比べても、安定して高品質なサービスを提供してもらえる点は大きなメリットです。
運転技術だけでなく、コミュニケーション方法や緊急時の対応方法などについても、専門の研修を実施している業者が多くあります。
プロとしての教育を受けた人材が派遣されるため、企業としても安心して任せることができます。
5-2.注意点
外部委託に関しても、メリットだけでなく注意点もあるため、その特徴を正しく理解しておきましょう。
5-2-1. 業務が限定される
外部委託の場合、業務は契約範囲内でしか依頼できません。
基本的に、運転業務以外の雑用を頼むことはできないと考えておきましょう。
例えば、待機時間に別部署の手伝いをしてもらうと、契約違反になる可能性があります。
また、運転手の雇用元は委託業者であり、企業側が直接指示を出すことはできません。
柔軟な対応を期待する場合は、事前に契約内容をしっかり確認しておくことが重要です。
5-2-2. 情報管理や安全面のリスク
外部委託したお抱え運転手は自社の従業員ではないため、車内で見聞きした機密情報が外部に漏れるおそれがあります。
特に、担当者が頻繁に入れ替わる場合は、情報漏洩のリスクが高まるでしょう。
管理体制が不十分な企業に委託すると、安全面でのリスクも考えられます。
外部に依頼する際は、価格だけで判断せず、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
6. お抱え運転手を雇う際の費用相場
本章では、お抱え運転手を雇う際の費用相場についてご紹介します。
自社雇用と外部委託では費用構造が大きく異なる点に注意しておきましょう。
6-1. 自社雇用
お抱え運転手の平均年収はおおよそ400万円前後が相場とされていますが、地域や企業規模によって300~600万円程度まで幅があります。
自社で雇う場合は給与以外にもさまざまな人件費がかかるため、合計すると年間で650~800万円程度の費用が発生する可能性があるでしょう。
企業によっては、土日祝の手当や勤務時間外の送迎が残業代として発生することもあります。
繁忙期に残業が増えると、その分コストも膨らむため、事前に把握しておくことが重要です。
また、目に見えにくい採用コストや教育コストも忘れてはいけません。
条件によっては、これらを含めて年間1,000万円程度の経費がかかる場合もあります。
6-2. 外部委託
外部委託の場合、月額費用はおおよそ40~60万円が相場であり、年間に換算すると480~720万円程度になります。
業者によって料金に差はありますが、サービス内容も含めて検討することが重要です。
費用が安いだけの業者を選ぶと、サービスの質が低い可能性があるため注意しましょう。
また、車種や休日対応の有無、深夜・早朝の送迎、長距離移動の多さなどによっても料金は変動します。
契約前には、自社の利用頻度や時間帯をしっかり伝えて見積もりを取ることが大切です。
外部委託は、採用コストや教育コスト、労務管理の負担を考慮すると、自社雇用より費用を抑えられる場合があります。
初期費用が少なく固定費を抑えられることに加え、必要な期間だけ契約できる柔軟な運用が可能である点も大きなメリットです。
7. まとめ
お抱え運転手とは、特定の人物や車両を専属で担当する運転手のことであり、送迎や車両・スケジュール管理など、多岐にわたる業務を担っています。
雇用方法には自社雇用と外部委託の2種類があり、それぞれでメリットや注意点があります。
費用相場も異なるため、両者の特徴を正しく理解し、自社の状況やニーズに合わせて最適な方法を選びましょう。
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